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読める鎮痛薬  作者: 九重有
子供たちへ

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三通目 「でも」を言う大人の正体



今、子供の君たちへ。


君が何かを話したとき

大人がすぐに言う言葉があります。

「でも」

「だって」

「それは違う」

「こうすればよかったのに」


それを言われると、君の中の言葉は途中でほどけて

言いたかったことが、急に恥ずかしくなる。

泣きたくなる理由を説明する前に

説明すること自体が悪いみたいに感じる。


大人はね、悪気がないことも多い。

心配しているつもりで

助けようとしているつもりで

正しく導こうとしているつもりで

「でも」を言う。


だけど、本当の理由は別のところにあることがある。


君の話を最後まで聞いてしまったら

その大人は、自分の過去にも触れてしまうから。

子供の頃の「しんどかった自分」

言えなかったこと

言っても消されたこと

泣いたら怒られたこと

怖いと言ったら笑われたこと

そういう記憶が

ちゃんと奥で残っている人ほど

目の前の君の言葉は、刺さる。


刺さると痛い。

痛いと、人は早く片付けたくなる。

だから答えを出す。

だから正しさに逃げる。

だから君の痛みを小さく言う。


「そんなことで」

「気にしすぎ」

「世の中もっと大変」


それは君の痛みを測った言葉じゃない。

その人が、自分の痛みを守るために出した壁かもしれない。


君が覚えておいてほしいのは

大人の「でも」は

君の感情の価値を決める言葉じゃないってこと。

君の感じたことは

誰かの都合で、軽くなったりしない。


大人のみなさんへ。


子供が話しているとき

正解を急がないでください。

「分かったよ」と言い切れなくてもいい。

ただ

「そうなんだね」

それだけで、子供は一回、呼吸ができます。

呼吸ができると

自分の中の言葉が戻ってくる。

それは、あとから生き方を決める力になる。


そして、大人も同じです。

誰かの話に「でも」と言いたくなったとき

それは相手を直したい気持ちだけじゃない。

自分が揺れているサインかもしれない。

揺れたところに

まだ手当てされていない場所がある。


今、子供の君たちへ。


君の言葉は、途中で止められていいものじゃない。

君の痛みは、説明できなくてもいい。

最後まで聞いてくれる人が一人でもいれば

君は、君のまま戻ってこれる。

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