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読める鎮痛薬  作者: 九重有
社会生活に疲れた人へ

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三通目 休むのが下手な人たち



社会生活に疲れた大人へ。


休んでいるはずなのに、休めていない。

寝たのに、疲れが抜けない。

何もしない時間を作ったのに

頭の中だけが、ずっと立ち上がっている。


そんな日が続くと

「自分は回復が下手なんだ」と思ってしまうかもしれない。

でもそれは、能力の問題というより

あなたが長いあいだ、休み方を“許されてこなかった”だけかもしれません。


休むって

本当は、体を止めることだけじゃない。

心を、責めるのをやめることです。


けれど社会の中で生きていると

体を横にしていても

心がずっと言い訳をしている。


休んでていいのかな。

やることあるのに。

あの返事まだなのに。

もっと頑張れる気がするのに。

みんな働いてるのに。


そうやって

休む時間の中に

罪悪感が同居する。

罪悪感と一緒にいる休みは

回復じゃなくて、待機です。

体は止まっているのに

心だけが立ち仕事をしている。


あなたが休むのが下手なのではなく

あなたの中に

「休んだら愛されなくなる」みたいな古い怖さが

残っているだけかもしれない。

役に立つ自分

ちゃんとしている自分

期待に応える自分

その形でいないと

置いていかれる気がする。


だから休めない。

休めないから疲れる。

疲れると、さらに自分を責める。

この循環は

真面目な人ほど、やさしい人ほど

きれいに回ってしまう。


今日は、休み方を変えるというより

休みに混ざってくる“声”を一つだけ静かにします。


「休んでいい」ではなく

「休まないと壊れる」でもなく

もっと小さく、こう言ってみてください。


「いまは、戻る時間」


戻る時間。

それなら、罪悪感の入り込む余地が少し減る。

休むことが

怠けじゃなくて

次の自分に返す作業になる。


もし何かをしたくなったら

頑張るためのことじゃなくていい。

回復のための、小さなことを一つ。


湯を沸かす。

窓を開ける。

背中に力が入っているのに気づく。

息を吐く。

スマホを裏返す。

それだけで、十分です。


社会生活に疲れた大人へ。


休むのが下手なんじゃない。

あなたは、休まないで回ってきた人です。

その強さは、もう証明されている。

だから今度は

休む練習をしていい。

上手じゃなくていい。

ただ、戻ってきていい。

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