【11 菜緒さんの頑張り】
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・【11 菜緒さんの頑張り】
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そのくらいのタイミングで、菜緒さんが俺にあるモノを見せてくれた。
「実は、おばあちゃんからいっぱいもらってきたんだけども」
そう言って見せてくれたのは、会津野菜ではなく、いや会津野菜なんだろうけども、既に製品化された、ビニールに真空パックで詰められた会津野菜の商品だった。それもたっぷり。
「すごい、部活で食べるには量が多過ぎる」
「だからあの、みんなにも食べてほしいなって思って……」
と、どんどん声は尻すぼみになっていく菜緒さん。
でもそうか、俺たち料理部だけじゃなくて、クラスメイトにも食べてほしいというわけか。
それなら朝のホームルームの時に声を出すことが一番良いかもな。
「菜緒さん、頑張って声を出せる?」
「分かんない……」
と自信無さげに言ったところで、稀子が近寄ってきて、説明すると、稀子が菜緒さんにズイッと顔を近付けながら、こう言った。
「菜緒はこれをクラスメイトに食べてほしいんだなっ?」
「そ、そう……」
おずおずとそう言った菜緒さんに稀子が、
「じゃあ最初に『注目!』みたいなことはアタシがするから、肝心なところは菜緒がやるといいよ。最初の言い出すところは慣れていないと大変だからな。アタシに任せな!」
何か頼もしいな、と思っていると、
「なんせ永嗣との件で前科があるからな!」
いや!
「それは別にもうぶり返さないでいい!」
すると菜緒さんは吹き出して笑って、こういうことも全部笑いごとになっているならそれでいいかと思った。
朝のホームルームの時間になり、早坂先生もやってきて、出席を取ったところで、稀子が挙手しながら立ち上がり、
「みんなちょっといいか! 今日は菜緒が喋りたいことがあります!」
と言って、そのまま立った状態で拍手をした。
それに釣られて拍手や歓声を上げるクラスメイトたち。
稀子の言い方によって明るいことということは伝わっている。
さて、菜緒さんは、というと、まだちょっとあわあわしているので、俺は菜緒さんへ、
「大丈夫! 絶対言える! 菜緒さんなら言えるよ!」
と声を掛けると、菜緒さんは机にその製品をいっぱい出して、
「みんなにも! 会津野菜を食べてほしいので持ってきました!」
と言った刹那、誰かがデカい声で叫んだ。
「すごいことになったぞぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
早坂先生だった。
何なんだコイツ(でもありがとう)と思った。
みんな菜緒さんの机を見始めたところで、稀子が言った。
「さぁ! ここから! 菜緒の会津野菜の説明を始めます! 会津野菜の良さを知ることにより、よりそれらを美味しく味わうことができる! 学びと味わいの二枚刃だな!」
急に稀子が仕切り出したけども、大丈夫かなと思っていると、菜緒さんは深呼吸してから、立ち上がり、喋り出した。
「舘岩赤蕪は南会津郡舘岩村の前沢、湯の花地区を中心に檜枝岐村山間部で栽培されています! 現在では舘岩村の特産として商品化された 『赤蕪の酢漬け』が販売されていて、道の駅などで売られています!」
いつもより大きな声で、ハッキリと伝える菜緒さん。
頑張っている菜緒さんに、心の中で強く頑張れって思った。アホみたいな文章だと思ったけども、本当にそうなんだ。
すると早坂先生が、
「赤蕪の良さは大人にしか分からないからアタシ専用かな」
と言ったんだけども即座に佳世が、
「そんなことないですから、私も普通に好きですし」
と言ってから矢継ぎ早に、口々に、
「赤蕪って美味しいよな」
「うん、全然子供でも食べるし」
「早坂先生はアホな偏見がすごい」
「そうだよなぁ」
みんなもそう思っていたんだ、俺だけじゃなかったのか、嬉しいなぁ。
菜緒さんは続ける。
「お種人参は会津美里町と会津若松市内の数軒で栽培されていて、畑は直射日光を防ぐため春から夏にかけては黒いシートで覆われているので、遠くからでも栽培地を見つけ出すことができます! かつての会津美里町の西方の小高い丘には、 会津盆地をとり囲むかのように黒い絨毯に覆われていたんです! これは会津若松市門田町徳久地区周辺でも見られ会津の風物詩の一つでした!」
すると佳世が、
「黒いシートで覆われているとか何かすごっ。手間の掛かる会津野菜だっ」
と声を出した。
やっぱり物理的に菜緒さんの席の近くにいるから、率先して声を出してくれているらしい。
ちゃんと伝わっているということを反芻して伝えているんだ。佳世にも感謝だ。
「その黒い絨毯の下には、お種人参が五年、六年と長い歳月をかけて成長し続けていて、最近ではその収穫量が減少しているものの日本一の生産量を誇っています。いわゆる朝鮮人参というヤツですね」
それに対して早坂先生が、
「朝鮮人参こそ大人の食べ物だ! これはアタシが全部もらいます!」
また口々に、
「そんなわけないだろ」
「百歩譲って大人の食べ物だとしてもオレも家に持ち帰って両親に食べさせたいわ」
「というか朝鮮人参ってマジで貴重なヤツじゃない?」
「独り占めとかありえないよな」
いいぞ、いいぞ、早坂先生へのヘイト聞くの心地いいなぁ。
菜緒さんは続ける。
「お種とは将軍から薬用人参の種をいただいたところから、普通の種でなく丁寧語の”お”がついてお種人参といわれるようになったんです! お種人参の根の有効成分は、サポニン類ビタミン類などで疲労回復・滋養強壮・不眠症など多岐にわたり効果があるとされて、二千年前の昔から不老長寿の霊薬として珍重されてきました! 終わりです!」
と言ったところでなおクラスメイトから歓声が上がり、
「分かりやすいぞー!」
「そんな貴重なモノを有難う!」
「絶対食べたことないヤツでヤバイじゃん!」
「会津野菜っていろいろあるんだなぁ! この時点で多種多様じゃん!」
「というか育ててる野菜見させてもらってるし! それも何か普通と違うキュウリで面白いと思ってるし!」
菜緒さんはホッコリとした笑顔を浮かべながら、座った。
良かった、無事終わったし、やっぱりクラスメイトは基本ノリの良いヤツらで本当に良かった。
そこから舘岩赤蕪の酢漬けとお種人参の砂糖漬けは昼休みに食べることになり、昼休み、全員教室に残って、それらを味わっていた。
赤蕪の酢漬けは赤蕪そのものの甘さと酢漬けの酸味の塩梅がちょうど良くて、さらに身が柔らかいため、口の中に優しく広がる旨味が本当に美味しかった。
お種人参の砂糖漬けは、あくまで漢方的な部分が大きいので、少量だったけども、いわゆる漢方感のあるほろ苦さに、砂糖漬けの甘みがマッチしていた。これは美味しいというよりも何だか元気になるといった感じで、不思議な感覚だった。
さぁ、そろそろ夏休み、の、前に、会津余時胡瓜と会津丸茄子の料理となった。一学期、最後の部活動だ。
まず昼休みに会津野菜の収穫へ行ったんだけども、その時だけ早坂先生と校長先生がテレコになっていて、つまり早坂先生だけいて、何か嫌だった。
「監督者はアタシ一人で十分!」
とか言っていて、なお嫌だった。
でもそれ以上に稀子が嫌悪感丸出しで早坂先生のことを見ていて『俺以上っ?』と思いながら、小声で話し掛けると、稀子も一応小声で、
「ほら、早坂先生の手元見てみろよ……小さい入れ物に味噌入れて持ってきている……」
さすがサッカーのプロを目指していただけある。観察眼が鋭い。マジだ。マジで味噌持ってきている。
ということは校長先生がいると、すぐに味噌付けて食べるところがみっともない(会津弁で、みばわり)なので、自分一人で良いと校長先生を突っぱねたというところか? 最低じゃん、俺は校長先生と収穫祭をしたかったよ。
会津丸茄子は思った通りの丸茄子で、コロコロとして可愛い、まさしく丸い茄子なんだけども、会津余時胡瓜はちょっと他のキュウリとは形状が違っていた。
会津余時胡瓜はあまりトゲトゲというかボツボツが少なく、実自体も太くて、そんなに緑緑しくも無く、黄緑の線が入っている感じ。ウリ科感が強く出ているというか。
だから触ってもあんまり痛くない。とは言え気を付けないといけない。気を付けないといけないと言えば、と俺が声を出そうとしたところで早坂先生が、
「イッタ!」
と叫んだ。言う前に……と思いながら、
「茄子は茎とかにトゲあるから気を付けてくださいね」
「早く言え!」
と早坂先生が声を荒らげた。
いやでも、
「ちゃんと育てていれば分かることですから」
即座に早坂先生が、
「嫌味を言うな!」
と言ってきて、嫌味だとちゃんと分かるんだと思った。
俺と菜緒さんと稀子はそれぞれ収穫していたのだが、どこからともなく、パキィと音が聞こえて、あっ! と思った。
全員が音のしたほうを見ると、早坂先生が味噌付けて会津余時胡瓜を食べていたのだ。
俺と稀子は溜息に近い、
「「あーぁ……」」
という、生徒より先に食べるなよ、というような落胆のような声がユニゾンしたんだけども、菜緒さんは、
「どうですか! 美味しいですか!」
早坂先生はうんうん頷きながら、
「瑞々しくてすごく美味しいぞ!」
と言うと、菜緒さんは小躍りするように跳ねながら、
「それはすごく良かったです!」
と言って、何か人として、菜緒さんが何枚も上手だなぁ、と思って、ちょっとだけ自分の心の狭さを反省した。
稀子もそう思ったらしく、俺と顔を合わせて、軽く笑いながら会釈した。
収穫も終わり、早坂先生に買ってきてほしい食材を言うことにした。
まず稀子がデカい声で口火を切った。
「とろろ昆布! 絶対必要!」
ちゃんと覚えているなぁ、と思いつつ、俺は、
「また卵を買ってきてください。あと大葉もあるといいかな」
菜緒さんはう~んと悩んでから、
「今回は大丈夫かなぁ、梅干しも自分で持ち込みましたし。永嗣くんが大葉を頼んでくれたから私は要らないです」
すると稀子が俺に向かって、
「米は持ってきたか!」
「それは勿論、いっぱい持ってきたよ。だからちょっと重かったわ。朝に調理実習室の冷蔵庫に入れたから大丈夫だよ」
「よっしゃー!」
とジャンピングガッツポーズをして、元気だなぁ、とは思った。
何なんだコイツとは思わない。それも一つの正しい反応だから。
早坂先生はまたパキィという音をさせながら、
「じゃあそういうことで」
とボリボリ食いながら喋って、マジで何なんだコイツとは思った。
放課後、調理実習室に集まって、早速料理を開始した。
まずは菜緒さんが会津余蒔胡瓜で梅和えを作ることに。
会津余時胡瓜を菜緒さんが板摺し始めようとしたので、
「ここは俺と稀子がやるから、菜緒さんは別の調理をしていていいよ」
と声を掛けた。
菜緒さんは、
「ありがとなし!」
と応えて、俺は稀子に板摺を教えることにした。
「板摺はキュウリのトゲトゲを抑える方法で、まな板に塩を振って、キュウリをゴロゴロ転がすんだ」
「それなら簡単だな!」
「そうそう、でもやるとやらないとでは食味が全然変わるからな」
「じゃあやらないとなぁ!」
俺と稀子が板摺をしている間に、菜緒さんは板摺を終えた会津余時胡瓜を薄切りにしてから、砂糖と醤油を入れて、鍋で煮始めた。
稀子が菜緒さんへ、
「それは何だっ?」
「佃煮ですっ。本当は太くなったキュウリは皮を剥くし、種も取るんですけども、やっぱりSDGsということでそのまま全部佃煮にします!」
「それはマジで良いなぁ! 昔からのレシピにSDGsも加えて最強だな!」
俺は頷きながらも、
「本当の昔ながらのレシピはそういった手間というか食味が悪くなるところも食べていたんだろうな」
すると稀子が、
「じゃあ昔に戻ったということか! そういうタイムスリップは悪くないなぁ!」
と言った。
俺と稀子が板摺を終えたところで、菜緒さんが佃煮の鍋をゆっくり回しながら、
「では会津余時胡瓜を薄く切って、梅干しは叩いたら、それと和えてください。それで簡易的ながら梅肉和えの完成です」
俺がキュウリを切って、稀子は梅干しを叩いて、それらを合わせて、まず一品完成した。
後ろで腕組んで立っているだけだった早坂先生がすぐさま近寄ってきて、口に入れた。
この早さ、何なんだよ、と思いつつ、俺も頂くと、
「会津余時胡瓜の瑞々しさと梅干しの酸っぱさが合う! キュウリって塩味を入れると急に甘くなる感覚するよな!」
と俺が言うと、菜緒さんが、
「いわゆるキュウリの甘辛というヤツだねっ」
と答えて、そういう言い方があるんだ、と思った。
稀子は早坂先生に負けないくらい食べるので、早坂先生はちょっと口を尖らせていたが、それは別にいいだろと思った。
菜緒さんは佃煮を焦がさないように、じっくり底を返すように混ぜながら、
「佃煮はちょっと時間が掛かるので、先に会津丸茄子も作り始めましょう。会津丸茄子は三等分にして、まず水に付けてあく抜きをしましょう」
俺と稀子でまた茄子を切って、水を張ったボウルにそれらを入れたところで、菜緒さんが、
「砂糖と味噌とみりんと植物油を混ぜて、田楽味噌だれを作ってください」
即座に早坂先生が、
「田楽!」
と叫んで、リアクション要員おつ、と思った。
菜緒さんから教えてもらった分量で混ぜて、準備したところで、
「大葉を刻んでください」
とまた菜緒さんから指示があり、刻んだところで、
「たくさん調理器具を使ってもいいんですけども、綺麗に掃除しているところも少ないので、今回はオーブンで会津丸茄子田楽を作りましょう」
俺と稀子はあく抜きした茄子の水気を取ってから、田楽味噌だれを塗って、オーブンで焼き始めた。
徐々に味噌の焦げる、美味しい香りがしてきて、これはかなりヤバイのでは? と思った。
茄子の水分がジュージューいう音も聞こえてきて、そろそろだと思って、取り出すと、美味しい色になった会津丸茄子が出てきた。
また次の分も焼くけども、
「じゃあそろそろ」
と俺が言った言葉よりも早く(多分音速は出ていたと思う)早坂先生が箸を持って、かぶりつき、
「旨い! 味噌は甘ければ甘いほど旨い! 会津丸茄子もめっちゃジューシー!」
……いや、
「早坂先生、大葉乗せますから」
「それもあるのかよ!」
とめちゃくちゃ楽しそうに叫んで、コイツの人生は最高なんだろうな、と思った。
俺と稀子は大葉を乗せて食べ始めた。
「大葉の夏の香りに会津丸茄子の柔らかい、とろとろさが口いっぱいに広がって、本当に美味しい……味噌だれも勿論美味しくて、なんというか、日本の甘みって感じがする……」
稀子もうんうん頷きながら、
「やっぱり大葉が入るだけでまた一気に変わるよな、見た目の鮮やかさも。清涼感のある香りに味噌だれの深い旨味、そして茄子のある種のぐにゃぐにゃ感。噛まなくても噛めてしまうこの柔らかさは格別だな」
菜緒さんは嬉しそうにこっちを見て微笑んでいて、聖母じゃん、と思ってしまった。
菜緒さんは鍋から皿に移して、
「佃煮も完成しましたっ」
と言ったので、すぐさま俺と稀子と早坂先生(食事三バカトリオ)は佃煮をつまんだ。
「この醤油と砂糖だけなのに、だけじゃない旨味、会津余時胡瓜の深みだなぁ。キュウリを煮るとこう、口当たりが馴染むというか、でもまだしっかりシャキシャキしている皮の部分もあって。めちゃくちゃ美味しいよ」
「そう言ってくださって、ありがとなし!」
すると早坂先生が、
「甘じょっぱいもいいけども、がっつり甘いモノも食べたいなぁ」
と言い出して、何なんだコイツ、マジで、というかキュウリと茄子じゃ無理だろ、また俺がプリン作るのか? と思っていると、菜緒さんが、
「じゃあ会津余時胡瓜でジャムを作りましょうか!」
と言ってそんなことアリなのっ? と思ってしまった。
でもそうか、キュウリはウリ科だからそれなりにそれっぽくなるということなのかもしれない。メロン的な。
菜緒さんは鍋を洗いながら、
「レンジ加熱でも作れますが、今回は鍋を使って煮込みましょうか」
と言い、また鍋の準備をし始めた。
じゃあ、俺らは、と思いながら、
「稀子、こっちは山形のだしでも作るかっ」
と言うと稀子より先に早坂先生が、
「だから米なのか!」
と叫んだ。もういいや、コイツは。
稀子は同調しながら、
「じゃあ茄子を細かく刻んで、まずはあく抜きか。それからキュウリと大葉という手順だな!」
ともう料理に馴染んでいて、稀子は本当に学習能力が高いなぁ、と思った。多分早坂先生は何も分かっていないと思う。
俺と稀子で茄子を集中して切って、水を張ったボウルに入れていき、ここから俺がキュウリ、稀子が大葉を刻み始めた。
大葉はすぐ終わるので、稀子は俺のキュウリを手伝って、早坂先生は冷蔵庫から米を出して、何か眺めていた。アイツはもう知らん。
菜緒さんは一瞬いなくなって、何だろうと思っていると、自販機からレモン系のジュースを買ってきて、
「レモン果汁は頼めなかったので、これで代用しますね。こういうのは甘みも入っているので、調節して砂糖を入れていきます」
と言いながら、会津余時胡瓜を刻んでから、佃煮と同じ要領で、鍋にキュウリを煮詰め始めた。
俺と稀子は食材を刻み終えたところで、また茄子は水気をとり、とろろ昆布と和えて、調味料も加えてだしを完成させた。
今回甘めの料理が多いので、だしは砂糖の類は入れず、塩気のみにした。
早坂先生はまるで自分の手柄のように米を持ってきて、
「これで食うぞ!」
とうるさいリーダーシップを発揮しやがった。
でも稀子は気にせず、早坂先生から米を受け取り、だしをたっぷり掛け、かき込んだ。
「これは旨い! 会津野菜は瑞々しくて新鮮だし、とろろ昆布のとろみが米や具材と絡み合ってマジで食べやすい! 飲み込みやすい! 旨い!」
俺も頂いて、
「シャキシャキしている会津野菜がまず口の中が楽しいし、大葉も相まって本当に爽やかな旨味、本当に美味しい!」
すると菜緒さんは、
「会津の伝統料理としては茄子だけで作る、なすだしというのもあるんだよっ。レシピ今度紙に書いてくるから家で作ってねっ」
と言って、あっ、なすだしって俺前に説明を横取りして、だしの説明しちゃったけども、本当に茄子だけで作るんだっ。
稀子は大きく頷いて、
「それはありがたいなぁ! レシピめちゃくちゃ教えてくれ!」
と前のめりに答えたので、ここは負けられないと思って、
「俺もレシピいっぱい教えてほしい! これからもよろしく!」
と言うと、稀子が、
「これからもよろしくはエロいのでは?」
と言ってきて、すぐさま俺は、
「そういう変な他意は無いわ!」
「冗談だよ、そういうのさりげなく言える永嗣はカッコイイな」
「だからそういうイジリも禁止!」
と俺はお笑いっぽくツッコんだんだけども、何だか菜緒さんはちょっとだけ頬を赤らめていて、全然そういう意味じゃないのに……というか元々どういう意味なんだ……と思った。
その後、会津余時胡瓜のジャムも完成して、それは爽やかな香りがする、美味しいジャムだった。
本当は、俺は会津丸茄子の身をくり抜いて、中に茶碗蒸しを入れる料理を作る予定だったのだが、もうお腹いっぱいになったし、生卵をだしに掛けるという発明を稀子がしたので、卵はそうやって使って終えた。
まあまだまだ料理部は続くわけだから、俺のアレンジレシピはあとに取っておこう……茶碗蒸し形式しか武器無いけども。俺も夏休みに個人的にレベルアップしないとな。




