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ダンジョン・アカデミア  作者: 綾瀬蒼


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39/40

39.五極の夜明け、新世界への調印

1. マナの段階的解放


始原の炉から放たれた光は、学院の地下から地上へ、そして大陸全体へと波紋のように広がっていった。空を覆っていた目に見えない「抑制の雲」が晴れ、世界中のマナの密度が静かに、しかし確実に上昇を始めた。

「レオン、成功です!システムの書き換えが完了しました。マナの供給量は、かつての抑制状態の200%まで上昇、さらに環境マナの自己浄化機能も起動しました!」リゼルは涙を拭いながら、解析盤の結果を叫んだ。

この「解放」は、解放派が望んだような急進的なものではなかった。レオンが組み込んだプログラムは、人類がマナに適応できるよう、数十年かけて徐々に上限を上げていくという、極めて「調和」を重視したものだった。


2. 解放派との和解とアルベルトの悔悟


炉の中枢部で、アルベルトは力なく崩れ落ちていた。自身が仕掛けた破壊術式は、レオンのマナによって「平和的なエネルギー変換」に使われ、誰も傷つくことはなかった。

「…私の負けだ、レオン。お前は、私が見ようとしなかった『未来』を、最初から見ていたんだな」

レオンは、アルベルトに手を差し伸べた。「お前が真実を求めた情熱は、間違いじゃなかった。ただ、その真実をどう扱うかが違っただけだ。アルベルト、お前の知識はこれからの世界に必要だ。償いは、新しい世界を創ることで果たせ」

一方、通路で負傷しながらも生き延びた翠緑のストラテジストは、自身の敗北を認め、捕虜となっていた。レオンは彼に対しても、意外な提案を持ちかけた。

「ストラテジスト、あんたの戦略眼は、マナの乱用を防ぐための監視体制に役立つはずだ。解放派という組織ではなく、『世界の守護者』として、学院と協力しろ」

ストラテジストは驚き、自嘲気味に笑った。「…皮肉なものだ。世界を壊そうとした私が、世界を守る側になるとは。だが、君の『調和』には、賭けてみる価値がある」


3. 学院の変革


数日後、学院はかつての特権意識を捨て、大きな変革を宣言した。学園長は公式に「抑制システム」の存在を認め、これまでの隠蔽を謝罪した。

「これからの魔法教育は、力を競うものではなく、マナと共生し、調和するためのものとなる。その象徴として、レオン・ハートフィリアを『終身名誉守護官』に任命する」

しかし、レオンはその申し出を辞退した。

「俺は、一つの場所に留まる器じゃない。世界中にはまだ、古い抑制の残滓や、暴走しかけているマナの溜まり場があるはずだ。そこを回って、調和させていく。それが、覇王装備を選んだ俺の責任だ」

リゼルもまた、自身の決意を固めていた。「私は、レオンの旅に同行します。彼のマナの変化を記録し、新しい魔法理論を構築し続ける。それが、私の『究極の理論』への道ですから」


4. クロードの再生


重傷を負ったクロードも、レオンの覇王マナによる治癒術式で、一命を取り留めていた。彼は病床で、自分たちの教え子が成し遂げた偉業を誇らしげに語った。

「私のマナ炉も、これからは平和のために火を灯せる。レオン、リゼル……君たちが創る未来を、私はここから見守っているよ」

世界は、大きな転換点を迎えていた。もはや「異端者」と罵られる者はいない。五つの属性が美しく混ざり合う、新しい時代の幕が開いた。

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