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ダンジョン・アカデミア  作者: 綾瀬蒼


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22/40

22.炉心の番人と、影を貫く超収束

1. 炉心への到達

幻影の回廊を抜けた先、通路は一気に広がり、二人は巨大な空洞へとたどり着いた。ここが、魔女の炉の最深部、炉心コアだった。

空洞の中央には、赤黒く渦巻く影のマナが煮えたぎっており、まるで小さなブラックホールのようだ。その中心からは、凄まじい熱と、圧倒的なマナの圧力が放出されていた。

「ここです、レオン。影のマナの源流……。そして、あの渦の中心に、古文書の言う『静謐な場所』があります」リゼルは解析盤を握りしめ、その先に広がる結界を指さした。

渦巻く影のマナの奔流の中、一点だけ、透明で安定した球状の結界が存在していた。その内部に、微かに光を放つ小さな金属の器が浮遊しているのが見えた。あれが調和の器だ。

その調和の器を守るように、渦の縁に鎮座していたのが、炉心の番人だった。

2. 影のマナの究極の集合体

番人は、明確な形を持たない。それは、周囲の影のマナを凝縮し、巨大な漆黒の騎士の形を成していた。鎧の隙間からは影のマナが炎のように噴き出し、その手に持つ大剣は、空間のマナを歪ませるほどの質量を感じさせた。

「分析不能……。これまでの変異魔物とはレベルが違います。純粋な影のマナの集合体。これは、この炉のマナそのものが具現化した存在です!」リゼルが声を張り上げた。

番人は、レオンたちに気づくと、ゆっくりと動き出した。その一歩ごとに、足元の影のマナの渦が巨大化していく。

「レオン!私の防御結界だけでは持ちません!影のマナによる瞬間的な環境適合シャドウ・アダプトで結界を支えて!私は、番人のマナの奔流を解析し、一点の弱点を見つけます!」

3. 全力連携と、防げない浸食

戦闘が始まった。番人は大剣を振り上げた。その一撃は、物理的な衝撃だけでなく、影のマナによる空間の切断を伴っていた。

リゼルは、全マナを込めて円形防御結界オーバル・シールドを展開。レオンは、結界の外側で影の適合を維持し、影の衝撃波を吸収し続けた。

ゴオォン!!

一撃が結界に命中するたび、二人の全身に激しい振動が走る。

「くっ……!耐えきれません!影の浸食が結界の内部にまで及んでいる!レオン、貴方の影の適合でも、これほどの純粋な影の力は止められない!」リゼルが苦痛の表情を浮かべた。

番人の目的は、結界を破壊し、調和の器に近づく者を排除することだ。

(ダメだ、このままじゃ結界が壊れる!俺の故郷が!)

レオンの胸中に、故郷の村が崩壊する幻影が去来した。焦燥が、彼の影のマナを沸騰させる。

4. 影を穿つ一撃

「リゼル!弱点はまだか!?」レオンが叫んだ。

「待って!番人のマナの奔流に、わずかな『不連続点ディスコンティニュイティ』を検出!番人の核は、その胸部に凝縮されていますが、そこを覆うマナの流れが一瞬だけ逆流する!」

「一瞬でいい!そこを教えてくれ!」

リゼルは、解析盤をレオンの視線に合わせ、番人の胸部を指し示した。「今!三秒後!その一点に、貴方の超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーターの全てを叩き込め!」

レオンは、リゼルの防御結界から、自らの影のマナを全て引き抜いた。防御を捨て、攻撃に全てを集中する。周囲の影のマナが、レオンの奔流に共鳴し、彼の指先に、漆黒の光が異常なまでに集束していく。

超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーター!!」

影のマナの奔流を突き破り、漆黒の稲妻が番人の胸部の不連続点へと向かって放たれた。

番人は、自らの核を貫かれまいと、大剣を防御に回すが、超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーターは、その全てを貫通した。

ズオォォォン!!

漆黒の稲妻が番人の核を貫いた瞬間、番人の全身を構成していた影のマナが、大剣もろとも霧散した。炉心の赤黒い渦は、一瞬で収まり、その場には、レオンの荒い息遣いと、静寂だけが残された。

番人は消滅した。影のマナの奔流は止まり、炉心は静謐を取り戻した。

「成功です……!レオン!貴方は、影のマナの究極の集合体を、打ち破った!」リゼルは、全身の力を使い果たして崩れ落ちながらも、歓喜の声を上げた。

そして、影のマナの渦が消えた中央には、調和の器が、無防備な状態で光を放って浮遊していた。

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