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ダンジョン・アカデミア  作者: 綾瀬蒼


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21.マナの幻影と、影のマナの織りなす罠

1. 炉の深層、増すマナの圧力

魔女の炉の探索は、下層に進むにつれて危険度を増していた。通路はより狭く、影のマナの濃度は、常にレオンとリゼルのマナコアを圧迫し続けている。

「リゼル、影のマナの圧力が強すぎる。このままでは、結界を維持するだけで体力を削られる」レオンは、結界の外側で影のマナによる瞬間的な環境適合シャドウ・アダプトを維持しながら、訴えた。

リゼルは、解析盤の数値を睨みつけながら答えた。「この階層は、特に影のマナの揺らぎが予測不能です。通常の防御理論では対応できません。レオン、貴方の『適合』で、私の結界が『安全な環境』を維持している。感謝します」

彼女の素直な感謝の言葉は珍しかったが、それだけ状況が逼迫している証拠だった。リゼルは古文書のヒントと周囲のマナの流れを照合し、炉心へと続くルートを探し続けた。

「次のルートは、この通路を左折した先。古文書の記述では、『幻影の回廊』と呼ばれる場所です。影のマナが、探索者の精神に干渉し、幻覚を見せる危険があります」

2. 幻影の回廊と、見えない魔物

二人が幻影の回廊へと足を踏み入れた瞬間、周囲の景色が歪んだ。赤黒いマナが濃くなり、通路は一瞬で、レオンの故郷の村へと変わった。

「レオン。これは幻覚です。私の解析盤は、周囲の物質的な変化を検出していません。影のマナが、貴方の過去の記憶に作用している」リゼルが冷静に警告した。

幻覚の中で、レオンの目の前には、炎上する故郷の村と、魔物に蹂虙される村人たちの姿が広がった。

「くそっ、これが幻覚だと分かっていても……!」レオンは焦燥感に駆られた。

その時、幻覚の中で、燃え盛る家屋の陰から、無数の影の触手が出現し、リゼルを拘束しようと襲いかかった。

「レオン!これは幻覚ではない!影のマナが実体化した魔物です!」リゼルが叫んだ。

影の触手は、リゼルの防御結界を無視し、物質ではないマナの干渉によって、結界を内側から崩そうとしてきた。これは、リゼルの防御理論が最も苦手とする攻撃形式だった。

3. 影の織りなす罠と超収束貫通型

「レオン!影の触手は、実体を持たないマナの集合体!物理的な攻撃では無効です!」リゼルは叫んだ。

レオンは、幻覚に惑わされながらも、クロードの指導を思い出した。影のマナは、制御しようとするほど反発する。

(この影の触手は、周囲の影のマナが幻覚に引きずられて凝縮したものだ。なら、影のマナで、影を破壊する!)

レオンは、自身のコアから影のマナを奔流させた。彼は、周囲の幻覚を無視し、影の触手が凝縮している一点に向かって、マナを流動させた。

超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーター

漆黒の稲妻は、幻覚の中で揺らめく触手へと吸い込まれた。稲妻が貫通した瞬間、触手は抵抗なく霧散した。

同時に、レオンが見ていた炎上する故郷の幻覚も崩壊し、目の前には、元の岩の通路が戻った。

リゼルは、解析盤を確認し、驚愕を隠せなかった。「レオン、貴方は……幻覚を破壊した。貴方の影のマナが、周囲の『幻覚を生み出すマナの波長』を完全に無効化したのです」

「貴方の影のマナは、このダンジョンでは『最強の対影マナ兵器』として機能している。貴方の影のマナは、幻影と物質の境界を無視し、マナの集合体そのものを破壊できる!」

レオンの力は、このダンジョンにおいて、リゼルの理論を遥かに超えた、絶対的な優位性を発揮し始めていた。

4. 炉心への道標

幻影の回廊を突破したことで、リゼルは古文書に記された次のヒントと、周囲のマナの変動を照合することができた。

「レオン、炉心へ続くルートが特定できました。この先は、マナの変動が極度に静謐な場所へと繋がっています。古文書の記述通り、『調和の器』は、最もマナが乱れる炉心の中心にありながら、最も『静謐』な場所に保管されている」

リゼルは、マナの静謐さこそが、調和の器の結界によるものであると推測した。

「ですが、同時に、この静謐な場所に到達する前に、最後の防衛線が待ち構えているはずです。影のマナが最も強く、最も古い、『炉心の番人』が」

レオンは、再び故郷からの手紙を胸に握りしめ、覚悟を決めた。彼の焦燥感が、影のマナをさらに力強く脈打たせる。

「番人だろうが、何だろうが、構わない。リゼル、進もう。俺は、故郷を救うために、ここにいる」

二人は、調和の器が眠る炉心への最後の通路へと足を踏み入れた。

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