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ダンジョン・アカデミア  作者: 綾瀬蒼


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17/40

17.裏ルートの選定と、魔女の炉への旅立ち

1. 旅の準備とクロードの裏ルート

レオンの故郷からの悲報を受け、魔女の炉への旅立ちは急を要するものとなった。

「魔女の炉へ学院から正規ルートで向かえば、警備隊、そして解放派にすぐに捕捉されます」クロードは隠れ家の地図を広げた。「そこで、私が用意したのがこの『裏の抜けシャドウ・パス』です」

クロードが指さしたルートは、学院の敷地を離れ、王都外周を取り囲む広大な『未開のフォレスト・オブ・アンノウン』を経由し、遠回りながらも魔女の炉の比較的安全な入り口へと繋がっていた。

「この森は、学院が管理していないため、マナの変動が激しく、小型だが予測不能な魔物が生息しています。そして何より、『追跡の術式』が効きにくい。リゼルちゃん、君の防御結界と、レオンくんの超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーターの突破力をもってすれば、ここが最速で最も安全なルートです」

リゼルは、地図と解析盤を照合し、頷いた。「このルートなら、解放派が追跡術式に頼っている限り、数日は時間を稼げます。ただし、森の内部の予測不能なマナの揺らぎが問題です。私の精密な結界が、突発的な環境マナの変動に対応できなくなる可能性がある」

「だからこそ、レオンくんの出番さ」クロードは微笑んだ。「リゼルちゃん。君は精密なマナ制御でレオンくんの影のマナを安定させることに専念し、レオンくんは、その影のマナの環境適合シャドウ・アダプトで、君の結界をサポートするんだ」

2. 緊急の連携訓練

出発直前、クロードは二人に対し、この森での「生存訓練」を課した。

「リゼルちゃん。君は、レオンくんのマナを、結界の外部に常に張り巡らせてやれるかい?」

「不可能ではありませんが、制御が極めて困難です。レオンの影のマナは、私のマナに干渉しようとする」

「その干渉を逆手に取るんだ」クロードは言った。「レオンくん、君は自分の影のマナを、リゼルちゃんの結界の『外皮』にすることに集中しろ。リゼルちゃんの結界が『精密な盾』なら、君の影のマナは『環境と調和する薄い膜』だ」

二人は、クロードの隠れ家の庭で、即席の訓練を始めた。

リゼルが、極限まで薄く、しかし強固な『円形防御結界オーバル・シールド』を展開する。その外側に、レオンが影のマナの黒い霧を纏わせる。

レオンは集中し、クロードの薬草で覚えた「流動」の感覚を研ぎ澄ませた。影のマナによる瞬間的な環境適合シャドウ・アダプト。それは、リゼルの精密な防御魔法を、周囲の荒々しいマナの揺らぎから「切り離す」ような感覚だった。

「成功だ!」クロードが声を上げた。「リゼルちゃんの結界が、森のマナ変動の影響を50パーセント軽減している。これで、予測不能な環境でも、君たちの生存率は格段に上がる」

3. 魔女の炉への旅立ち

夜明け前、レオンは故郷からの手紙を胸に抱き、リゼルと共に隠れ家を出た。リゼルは、戦闘用の黒いローブを纏い、背中には複写した古文書を厳重に封印している。

クロードは二人の旅立ちを見送りながら、最後に忠告を与えた。

「いいね、レオンくん。君の故郷の危機は、君の焦燥という形で、君の力となり続けるだろう。だが、魔女の炉の『炉心』は、その焦燥すらも飲み込む場所だ。力を解放するときも、冷静さを失うな」

「分かっています、クロード先輩」レオンは頷いた。

「リゼルちゃん。君の理論は、この旅の羅針盤だ。だが、旅の途中で、君の理論が通用しない『異質な現象』に遭遇するだろう。その時は、レオンくんの野生を信じなさい」

「……善処します」リゼルは、クロードの感情的な助言に眉をひそめつつも、静かに答えた。

二人は、クロードが指し示した、王都の城壁の影に隠された小さな洞窟へと向かった。

洞窟を抜けると、そこは光がほとんど差し込まない、鬱蒼とした未開の森の入り口だった。一歩足を踏み入れた瞬間から、周囲のマナは予測不能な揺らぎを見せ始めた。

「レオン。覚悟はいいですね」リゼルが厳しく言った。「貴方の故郷を救う道は、ここから始まります。ただし、覚えておきなさい。この旅の全ては、私の理論の証明のためにある」

レオンは、指先に微かな影のマナの黒い霧を纏わせた。

「ああ。俺の力は、あんたの理論を借りて、故郷へ向かうための『道』を切り開く。それだけだ」

二人は、学院の監視を逃れ、それぞれの目的を胸に、世界の闇の秘密へと踏み込んでいくのだった。

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