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ダンジョン・アカデミア  作者: 綾瀬蒼


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11.アルベルトの策略と闇討ちの決闘

1. 貴族の焦燥

レオンがリゼルとクロードの指導の下で、超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーターを会得しつつあるという事実は、学院の貴族社会において、隠しきれるものではなかった。特に、リゼルという最高位の天才と組むはずだったアルベルトにとって、レオンの存在は憎悪の対象となっていた。

アルベルトは、レオンが訓練室の結界内で放つ、漆黒の稲妻のような破壊の閃光を、遠くから何度も目撃していた。

「あの田舎者が……!規格外の力だと?リゼル様があんな野蛮人に時間を割いているせいで、私のマナ制御の最終理論が停滞している!」

アルベルトの目的は、リゼルに認められ、学院の将来を担うエリートの地位を確固たるものにすることだ。その完璧な計画において、レオンは排除すべき異物でしかなかった。

2. 特訓後の待ち伏せ

その日の夜。レオンが特訓を終え、全身の疲労を感じながら、寮の古い棟へと戻る途中だった。クロードの薬草の効能が切れ始め、影のマナを抑え込んだ反動で、体が重い。

学院の敷地内にある、普段は人気のない古木が立ち並ぶエリアで、レオンは待ち伏せを受けていた。

「おい、田舎者」

声の主はアルベルト。彼の背後には、同じ貴族階級の取り巻きの生徒が二人、嘲笑を浮かべて立っていた。

レオンは立ち止まった。「アルベルト。何の用だ」

アルベルトは一歩前に出て、レオンを見下すように言った。「お前は、リゼル様から離れろ。お前の粗野な力は、彼女の研究を汚している。お前の居場所は、学院の最下層、あるいは故郷の泥の中だ」

「俺の居場所は、俺が決める。リゼルに言われた通り、俺はここで力をつけ、故郷を救う」レオンは低い声で言った。

「フン。救うだと?お前のような制御不能のバケモノに、救えるものなどない!お前には、学院の理論も秩序も理解できん!」アルベルトは嘲笑を止めなかった。「いいか。お前のような異端者が、学院のマナのルールを乱すのは許されない。今ここで、学院のルールとは何かを実力で教えてやる」

3. マナ制御VS一点突破

アルベルトは、取り巻きの生徒たちに合図を送った。

「かかれ!ただし、マナの暴発は許されない。あくまで『制御された制裁』だ」

アルベルトの取り巻きは、熟練した中級魔法使いだった。一人はレオンの足元に『グラビティ・フィールド』を張り、動きを封じる。もう一人は、レオンの周囲に幾重もの『ウィンド・カッター』を展開し、逃げ場を塞いだ。

レオンは体が重く、疲労がピークに達している。このままでは集中砲火を受ける。

「くそっ!」

アルベルトは、完璧な姿勢で自慢の防御魔法を構えた。

「無駄だ。我々の制御されたマナの連携の前では、お前の破壊力は封じられる。そして、この『アイアン・シールド』は、お前の未熟な超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーターなど防いでみせる!」

アルベルトは、レオンが疲労により影のマナを完全には使えないと見切っていた。

レオンは、アルベルトの完璧な防御壁と、周囲を取り巻く攻撃の網を見て、悟った。通常の「ライト・ボルト」では、アルベルトのシールドは破れない。そして、リゼルの指導なしに影のマナを暴発させれば、学院から追放される。

(違う!クロード先輩が言った。『導け』。リゼルの理論で、最小限の力で最大の結果を!)

レオンは、自身のコアから僅かなマナを引き出した。疲労と焦燥感のトリガーは揃っている。だが、彼はそれを暴発させる代わりに、クロードから教わった「流動」の感覚を必死に思い出した。

彼は、周囲に展開されたウィンド・カッターの一点の隙間を狙い、その隙間へと、自分のマナを針のように細く、しかし流動性を保ったまま、導き入れた。

4. 貫通する漆黒の稲妻

超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーター――!」

放たれた漆黒の稲妻は、極限まで細く、糸のように見えた。その稲妻は、ウィンド・カッターの編み目の中を、まるで細い水路を流れる水のように、完璧に貫通した。

ターゲットは、防御を固めるアルベルトのアイアン・シールドだ。

アルベルトは嘲笑を浮かべたままだった。「無駄な抵抗を!」

だが、その漆黒の細い稲妻がシールドに触れた瞬間、アルベルトの顔から血の気が引いた。

バシュッ!

シールド全体を破壊することなく、超収束貫通型ハイパー・フォーカス・ペネトレーターは、まるで熱した針がバターを貫くように、アルベルトが展開した何層もの防御魔法を、一点の穴を開けて貫通した。

稲妻は、アルベルトのマナコアのすぐ手前で霧散した。

アルベルトは、防御結界の破壊された一点を見つめ、全身から冷や汗を流した。もしレオンが狙いを1ミリでもずらしていれば、彼のマナコアは破壊され、魔法使いとしての生命を絶たれていた。

「ば、バカな……!シールドを……シールドを貫通しただと……!?」

レオンは、その場に崩れ落ちたが、勝利の冷たい汗を拭った。

「学院の秩序は、力だ。アルベルト」レオンは、荒い息の中、言い放った。「俺の力は、お前の理論より速く、お前の防御より硬い。俺の邪魔をするな」

アルベルトは、恐怖と屈辱に顔を歪ませたが、反撃する力は残されていなかった。取り巻きの生徒たちは、異様な破壊力に怯え、アルベルトを抱き起こしてその場から逃げ去った。

レオンは、リゼルの精密とクロードの流動を組み合わせた新しい力が、学院のルール内でも十分に通用することを証明した。しかし、彼のこの行動は、学院の裏側の派閥争いを、さらに激化させることになるのだった。

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