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【連載版】実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す  作者: CarasOhmi
【番外編2】実家住みおじさんの甥、幼馴染ギャルとダンジョンに潜り、こじれたケモノ性癖の矯正を目指す
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#19 卑怯者の決闘

 ―――― ケタケタ ケタケタ



 暗い通路の向こう側。溶岩に照らされた大広間。そこに佇む少年少女。

 俺はご機嫌なテンションで、ヘドバンで顎を鳴らしながら、隠れ陰キャギャル(仮)と、ヒーロー気取りの少年に歩み寄る。


 少年は、毅然とした顔でこちらを見る。魔導煙幕(スモーク)での逃走然り、トラップを警戒した遁走然り、このガキはさっきのリア充どもとはまた違い、それなりの場数は踏んでいるようだ。


 だが、騙し合いには慣れていないんだろうな。動きが、戦術が、極めて素直だ。

 俺が追い付くまでにトラップのひとつでも仕掛けていれば、ワンチャンあったかもしれないのに。


 ……いや、「ない」けどね(笑)

 デストラップダンジョンがウチのチャンネルのウリ。昨日今日で配信を始めた高校生(キッズ)の仕掛けたトラップなんていくらでも看破してやるさ。



 ――そして、深層への転移魔法陣。

 コイツは、俺の設置ポータルであり、その撤去は俺の任意で行うことが出来る。これにより、もと来た「三層」と、この「深層」を直接つなぐ経路は消滅。

 残念だったねぇヒーローくん、せっかく辿り着いたゴールは、もうどこにも在りません♡


 ……まあ、俺の帰還手段もなくなるので最終手段だったんだけど、ここまで潜ったのは俺の実力。帰り道だってマッピング済みで難なく帰れる。ここは撮れ高を優先だ。


 おや、撮影係の女の子は顔面蒼白……かわいいね♡

 対するヒーロー少年は……うーん、絶望顔が足りない。

 なんだかんだ、視聴者層は男が多いわけだけど、変態お姉さまの需要だってあるかもしれないじゃないか。もっと怖がってくれないもんかねぇ……。


 ……いや、こっちのヒーローくんを煽って怒らせるってのもアリか?

 まずは、ヒーローくんの四肢を削いで無力化。そのあとは、撮影役のギャルの子を痛めつけて、少年の方をガチ切れさせつつ、最後は溶岩に放り込んでゲームオーバー。

 無力感に苛まれながら、少年は地上に還って行きましたとさ。チャンチャン♪


 ……うん、これは良いな!女の子をメインディッシュにするより、多分伸びるぞ!


 視聴者ってのはさ、自分のムカつく奴をボコボコにしてくれる「気持ちよさ」を求めるのと同時に、憎くて仕方ない「イヤなヤツ」の存在も求めてる。

 この場合、ガキども追い詰めるわかりやすい「悪役」の俺でもあり、女の子を助けに来た「ヒーロー気取り」のお調子坊やでもある。 


 つまり、この配信を見る視聴者を、「俺を応援する視聴者」と「ヒーローくんを応援する視聴者」に分断するわけ。

 みんなはレスバをはじめたり、応援をはじめたり、動画のコメントは伸びるよね?そうすると、サジェストもされやすくなって同時接続数も増えていくわけよ。対立煽りは、PV増加の基本だぜ?


 矛盾してるよねぇ?

 収益は俺にしか入らない。なのに、ヒーロー側を応援して、自分を善人だと思いたがってる視聴者がいる。すべて俺が作った「舞台」だってのにさぁ?


 彼らは、その言葉とは裏腹に、俺の収益に貢献し、持続的活動を支えている。


 偽善的な視聴者のみんな……いつも応援ありがとうな!

 日頃よりのご愛顧に応えられるよう、目の前のいい子ちゃんをいたぶって、悲惨な映像をお届けだ。お楽しみに♡



「ハル……君?」

「大丈夫」


 ふと声の方を見ると、ヒーローくんは、震える女の子の肩の震えを、抑えるように軽くとんとんと叩き、勇気づけている。


 ――あん?


 ………………


 あぁー……こいつらもデキてんのか。

 最近の高校生はマセてんなぁ。うーん、腹立たしい。


 ……まあ、だとすれば好都合。

 彼女を救えなかったヒーローくんの惨めさはより強調され、非リア視聴者も大興奮だ。


「心配ないよ、ちゃんと無事に、地上まで送り届けるから」


 ……はっ!

 やらせるかよ。てめぇら二人とも、ここで惨めにゲームオーバーだ。

 苦しめて、苦しめて、地上に送り返してやるからな♡




 俺は、腰に挿した魔導山刀(マジカル・マチェーテ)を抜いた。

 ヒーロー少年もまた、魔導山刀(マジカル・マチェーテ)を抜き、俺を睨む。


「……勝負だっ!PK(プレイヤーキラー)っ!」


 走り出すヒーロー少年。

 最後の闘いの火蓋が切って落とされ――







 ヒーロー少年の掲げた手首が、魔導山刀(マジカル・マチェーテ)もろとも、宙を舞った。


 ――俺の左手に握られたショットガン。

 その銃口には、ゆっくりと昇る硝煙が揺らめく。


「……っ!」

「……ハル君っ!」


 右手を押さえてうずくまるヒーロー少年。




 はっ……はははっ!!


 誰が!

 そんな!

 サムライやガンマンみてぇな一騎打ちに!

 バカ正直に乗ってやるものかよ!


 俺は、ヒーロー少年のザマを見て確信した。


 コイツは、女の前でいいカッコしたいだけの、馬鹿な色ガキだ。ヒーローでも何でもない。

 殺人鬼である俺を前にして、コイツは卑怯な戦術をとって殺しに来なかった。あまつさえ一騎打ちときたもんだ。


 配信PvPの文化に憧れてたのか?

 女の子の前で卑怯な手段を取れなかったか?

 それとも……単に頭の回らない、おバカさんだったのかな?



 ――どれであっても、結果は同じさ。

 そして、俺はそんな奴らが、騙され、無様に膝をつく瞬間!

守護(まも)れる」と確信していた相手が、むざむざ目の前で殺される瞬間!


 その時の、無力感あふれる視線が!

 思い上がった人間が万能感を失う瞬間が!

 虚無感に満たされた俺の人生を肯定してくれるわけよ!


 それが楽しみでPKをやってるんだよ!

 もう、ごはん十杯は軽いぜッ!


 ……さて、じゃあ総仕上げだぜ?ヒーロー少年よ。

 俺は、石畳の上を、かつかつと音を立てながら、ゆっくりと歩み寄る。

 今から、俺のマチェーテで、無様なヒーローの四肢を、削ぎ落してあげよう♡


 身動きも、反撃も、何も出来ない、そんな坊やの前で、いよいよショータイムだ、

 大事な大事な彼女が、怯えながら逃げ回るさまを、じっくりと目の前で――







 ――石畳の遺跡の入り口を抜ける、その瞬間。

 俺は、左の壁から発生する、激しい轟音を聞いた。







 ――なんだ?


 ――なぜ、俺の下半身が、無くなっている?


 ――魔導探知(マジックソナー)は使っていた。


 ――ここには、魔法陣トラップは、何もなかったのに……?




 支えを失った俺は、慣性に従うままに前のめりに洞窟の地面に倒れる。


 呆然とする俺の目に映った光景。

 それは、スマホに映った「起爆」のボタンをタップする、ヒーロー少年の、冷めきった視線だった。




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