表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す  作者: CarasOhmi
【番外編2】実家住みおじさんの甥、幼馴染ギャルとダンジョンに潜り、こじれたケモノ性癖の矯正を目指す
66/96

#7 ダンジョン探索を知ろう!

 ナギサとホノカ、二人の口車に乗る形で、私はダンジョン探索をしようという提案に承諾した。

 場所は最近になって私の家の近所の駐車場に浮上したダンジョン。ほぼ探索も完了した低階層のダンジョンとのこと。

 すでに地図作成(マッピング)は完了しているため、未踏の地への冒険というよりも、舗装された登山道を歩くようなものだ。

 

 言ってしまえば、これはナギサとホノカにとって、ある種の肝試しデートみたいなもの。

 提案の経緯を聞くと、私とハル君の関係の話とは別で、二人の彼氏が仲良くなり、ダンジョン探索に興味を持ち始めたことで、簡単なパーティーを組んで、ダンジョンがどんなものか、お試し的に潜ってみようという趣旨だ。


 元の提案は、ダンジョン配信を通して仲良くなった二人の彼氏のもの。

 ナギサとホノカ、私はそれに便乗する形に近いのもあり、今回の探索はハル君を誘わない流れとなった。


 ……もちろん、せっかく大義名分が出来たんだから、私としてはハル君も誘って行ければと思った。けど、ナギサとホノカから、ハル君のバイトの話を聞いた二人は、それに難色を示したとか。

 経験者抜きの探索、「自分たちだけでも出来る」って見せて、彼女にいいところを見せたいんだろうなぁ。……気持ちは、ちょっとわかる。


 そのため、口惜しい気持ちはありながらも、私はハル君を除いた五人パーティーでの探索を行い、ダンジョン探索というものがどういうものなのか、まずは肌をもって知ろうという流れになった。


 ……というわけで、私は今、家のパソコンでダンジョン探索についてを調べている。

 私は「撮影係」ということで、武装は最低限で挑む。なので、せめて実地で困らないように、知識をあらかじめ入れておこうという感じだ。……これから、ハル君の話も理解しやすくなるだろうし、ね。



* * *



◆ダンジョンとは?


 令和の初めごろから、世界中に浮上し始めた、広大な地下空間を含む謎の構造物。

 地上に表出する祠はその一角であり、魔法陣に乗ることで内部の所定位置にランダム転送される。


 階層ごとに分かれたフロアが存在し、その奥に進むほどに様々な難関が現れ、侵入者を阻む。

 その建築時期や意図は全くの不明であるが、放射線測定などの結果、先史よりもはるか以前に作られたものであるとされる。

 地下の魔石鉱脈や、マジックアイテムを取り扱う露店、宝物庫なども存在しているが、トラブルのもとになるので、地権者や地下部族に連絡を取ってから、その取り扱いを決めることが推奨される。


 現在有力視されている説は、内部の集落の生活基盤となる魔石の一種、「白陽石」のエネルギーを補充するため、地上に浮上した祠などの構造物で日光を溜め込んでいる、というものである。

 そのため、この「ダンジョン」という構造物自体が、先史の爬虫類人類文明……「大ゴブリン文明」の遺物ではないかという説を唱える学者も少なくない。


――――――――――――――――


「……ある程度の形は決まってるけど、内部構造はそれぞれバラバラなのかぁ。趣味で潜ってる人は、アトラクション付きの迷路って感じなのかな」


――――――――――――――――



◆ダンジョンに住む先住民族


 多くはゴブリンやコボルトなどと言った知性を持った種族が主である。彼らの身長はおおよそ80~100センチほどで、人間と比べると小型。これは、ダンジョン内で掘削を行うのに最適化した特性と推測されている。

 彼らの築き上げた魔導文明が、隕石による大量絶滅を逃れるために建設したシェルター兼地下都市こそが、現代で浮上するダンジョンの起源ではないか、とささやかれている。

 彼らの存在が、西洋におけるゴブリンやコボルト、ドワーフと言った妖精の伝承のもとになったとされており、日本でも河童や天狗などの民話として伝承が残ったのではないかとされている。


 現在、ダンジョン考古学は全国の遺跡を調査して彼らの出自や、地上文化との接点を研究しており、学術的にも注目を集めている。


――――――――――――――――


「……ゴブリンとかってゲームの存在だと思ってたけど、そっか。現実の種族が民話になって、それを参考にゲームや漫画が作られて、って感じなのかぁ。なんだか先祖返りみたい」


――――――――――――――――


 彼らは、地下大魔網(アンダーネット)と呼ばれる、魔力伝播によるネットワークを使い、地理的に遠く離れたダンジョンとも連絡を取っている。これは、地上のインターネット網を魔力で構築したものに近い。

 彼らの発明品は、現在の日本における魔導工学の礎になっており、昨今はアンダーネットからインターネットに接続するための互換サービスなども提供されるようになっている。

「魔導伝播型インターネット機器」などはその典型だが、地上の「魔導インターネット端末」では「アンダーネット」への接続は、ひと工夫必要になるため注意が必要。初心者は、アンダーネットとインターネット、両方に対応した端末を用意するのが一般的。


――――――――――――――――


「……そういえば、ハル君のお父さんって魔導工学エンジニアで、おじさんはIT系だって話だったっけ。この辺りは詳しそう」


――――――――――――――――


 ゴブリンとコボルトについては、定説としては中生代の恐竜や、初期哺乳類から分化した存在とされ、人類より先に誕生した二足歩行型の知的生命体が彼らであるとされる。


 国内のゴブリン、コボルトと言った種族は、魔石資源が豊富な環境ということもあり、温厚な者が多いとされるが、それでも人間と同様にアウトローは存在するので、一定の防犯意識を持ったうえでの交流が吉。


――――――――――――――――


「……まあ、人間もみんな善人ってわけじゃないしね。何でもかんでも信じすぎは良くない、ってことかな」


――――――――――――――――



帰還の指輪(エスケープリング)とは?


 ダンジョンに潜むトラップや、危険な害獣(モンスター)は、そのまま争っては死亡事故が起こりかねない危険な存在である。

 そのため、ゴブリン部族の用いる「帰還の首飾り(エスケープチョーカー)」を解析して開発された、地上製の安全装置が「帰還の指輪(エスケープリング)」となる。


 このマジックアイテムを装備すると、ダンジョン転移時に「仮想身体(アバター)」と呼ばれる魔力で構築された、人型の物体を生成し、それを使用者の代わりにダンジョンに送る。その間、使用者の肉体は、別次元に構築された「安置所」にて、脳を除き機能凍結(フリーズ)状態となる。


 仮想身体は、視聴覚などの五感を再現して、安置所の使用者と感覚リンクを行う。同時に、使用者の脳波を身体操作に変換し、これをもってダンジョン内を探索する。


 原則的に、仮想身体は使用者の肉体そのままに構築されるが、血管や神経などは魔力伝達管や魔力導線、臓器は小型魔力炉に変換されている。ただし、身体操作の感覚は通常の自分の体を動かすのとほぼ同じ感覚になる。

 仮想身体が破壊されるなどして機能停止した際には、透過性の魔力粒子が信号として地上に送られ、機能凍結と感覚リンクが解除、ダンジョン入場地点の半径十メートル以内の地点に、実体が「送還」される。

 送還後、おおよそ十分以内に意識は覚醒するが、訓練次第でその時間は短縮可能。帰還の指輪(エスケープリング)は魔力補充処理を行うまで使用不能となるため、再度探索に向かう場合を考えると予備のリングや装備を近場に保管しておくのが望ましい。


 また、機能として痛覚は低減されているため、欠損などが発生しても意識を喪失するほどの激痛は発生しない。また、生殖器官や排出器なども、ダンジョン探索では不要であること、また攻略者間のトラブルを避ける(※)ために、仮想身体からは除外してデザインされる。


(※)仮想身体は当人の肉体ではなく、法的には「物」の扱いであり、ダンジョン内では器物の損壊や盗難は合法となっている。そのため、ダンジョン内で発生する殺人・暴行・誘拐は罪に問われることはない。

 だが、地上に戻った際のトラブル発生の原因になるため、文科省やスポーツ庁はこれらの行為について、探索者のマナーとして非推奨の行為と強く啓蒙している。


 なお、当初は味覚についても探索に不要とされオミットされていたが、摂食による魔力補填に際して無視できない士気低下が見られたこと、民間探索者の需要として地下部族とのグルメ交流が求められたことで、早い段階で味覚同期も実装されることとなった。


――――――――――――――――


「……うわぁ、生々しい。……でも、現実の身体じゃないってことは、命に係わる危険はない、すごくリアルなVRゲーム、みたいな扱いってことなのかな。貴重品は置いていくとして……暴漢に襲われるみたいな、そっち系のリスクもないってことか。考えてみれば、地下の薄暗い空間で、武器持った相手もうろついてる空間とか、生身で挑むのは怖すぎるよね……」


――――――――――――――――


 その後は、魔導武具の使用方法や、王道的な探索手順などについて情報収集したところで、夜も更けてきたので私はパソコンの電源を落とした。

 これで、ハル君との話にも多少はついていけるかな、とも思ったけど、逆に詳しい人に付け焼刃の知ったかぶりをしたら、気分を害しちゃうかもしれないなぁ……。


 ……何が「正解」なのかは、正直なところわからないけど、これで少しでもハル君の近くに、歩み寄れればいいな。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ