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【連載版】実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す  作者: CarasOhmi
【番外編/終】実家住みおじさん、大好きなネコケモ婚約者と、明日へ向かって進む
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#50 過去より這い出るモノ

『七光の件については、実際一時的に動画の伸びにこそなりましたが、知事の対応も早かったですねぇ』

「あー、親子と獅子辻で会見開いてたな……ボンボンの親父は大分やつれた表情してたが」

『まあ、心労は事実でしょうが、かなりの部分は同情を買うための演技でしょうね。おかげで、あんまり擦るとうちのイメージダウンになるんで、良識論で〆て手を引きました。群衆心理のコントロールにおいて、政治家は最強ですからね』


 ……コイツもコイツで、世論の変化に敏感だ。流石の火遊びの達人ってところか。


「しかし、獅子辻のジジイはともかく、あのボンボンのクソガキは反省するのかねぇ」

『あー……タカシ君なら、最近は父親に命じられて、県内のダンジョン施設でボランティアして回ってますよ。近年だと、浮上固定されたゴブリン自治区の住民には、参政権が与えられるかもって話もありますし。得票も考えてイメージアップを図ってるんでしょうね』

「……あんな欲望に素直な奴でも、親父の命令は聞くもんなんだな」

『権力の基盤が世襲だからってのもあるでしょうけど、悪い大人に痛い目にあわせられて、お灸になったのでは?』

「……まあ、一度炎上しちまったら、イヤでも世間の目は集まっちまうし、大人しくならざるを得ないか」


『獅子辻さんも、責任を負って七光家から解雇されてますが……重機操縦資格を持ってるからって、ダンジョン再開発に引っ張りだこですよ』

「免停にならねぇのか、アレ……?」

『今はまだ、魔導重機扱える人材の総数が少ないですし、知事の根回しもあったんでしょうね』

「トカゲのしっぽ切りされると思ってたんだが、意外だな……」

『……優秀で実績も人気も高い方ですし、タカシ君に振り回されてたんだろうと、世論も同情的でしたしね。責任を取らせた形で下野させつつ、別の役割で再利用してるんでしょう』

「……ちゃっかりしてんなぁ」

『まあ、そこまで七光家に干渉されてる感じでもないですよ。タカシ君の子守を外れたことで、生き生きしてるみたいで。休日は、趣味でダンジョン潜ってるのも目撃されてます』

「鉢合わせしたくはねぇなぁ……」


* * *


「そういえば、黒栖の坊主は最近どうだ?最近はお前とも絡んでるみたいだけど」

『そうですねー、チャンネル運営や機材についていろいろと教えてあげた結果か、着々と頭角を現してますよ。元々素直な子ですし、キャラも立ってますからね』

「まあ、立ってはいるけど、なぁ……ハタチで中二キャラって、これからも続けてくの大変そうだな」

『そこはもう、彼の才能ですよ。人に「恥ずかしい」と言われることを、迷わず続けられる、自分のやりたいコンセプトを通せることって、人前に出る仕事では立派な才能なんですよ。あとは「視聴者の反応」を客観的に予測して、求めに応じた振る舞いが出来るようになれば、十分一人前です』


 滑稽さを面白がられて、リスナーにいじられてるだけかと思ったが、実際奴を応援したくなるファンも多くいるってことか。


 ……思えば、黒栖の坊主も、いじめを受けて歪んでたとはいえ、出会った当初は大規模テロを図る、危ねぇ奴だったんだよな。そういう面じゃ、十分更生したと言える。

 結果論とは言え、復讐は叶わず、社会と折り合いをつけて生きていく道をアイツは選んだ。今のアイツを見ると、むしろあの時の精神状態が異常だったわけで、事を起こす前にミツキ達が相談相手になってやれたことは、上位存在(スターシステム)がそれを止めたであろうことは、救いだったんだろう。

 今のアイツなら、同じ過ちはしないだろうし、同じ過ちを犯そうとする他人に手を差し伸べることもできるだろう。ミツキからの間接的な恩義で、レイちゃんのために働いてくれた男だしな。


 案外、世の中には発火しない不発弾がくすぶっているもんなんだろう。その時、誰かが優しくしてやれるかどうかで、その後は変わっていくもんだ。

 ……人生ってのは、捨て鉢になって途中で諦めちまうには、長すぎるもんだよな。

 それなら、アイツの資質を生かして、配信者としてリスタートするのも、悪くない。……不法行為をしない範囲でな。

 


「……とは言えなぁ、人生のどっかの時期で、恥ずかしくなって深手負わねぇかは、心配だな」

『長い人生を、無傷で駆け抜けるのだって難しいでしょう。結果を出せたのなら、恥であれど、同時に立派な勲章ですよ』

「そういうもんかね……」

『他ならぬカズさんだって、かつては傷を負ったものでしょう……?』

「なにがだよ」

『またまた、ご自身のことでしょうに……』




――――好きを極める配信者(ストリーマー)EINS(アインス) TV」チャンネル

――――元・運営者の「☆EINS(アインス)☆」さん?




「……っ!てめ……っ!」

『いやぁ~、調べものが得意な友人がいましてねぇ?ハルト君から「高校生の頃に配信してた」って話を伺ったので、ちょっと調べてもらったんですよォ……』


 ハル坊……あいつ!グラボの恩を仇で……っ!


『あなたにも、こんな時期があったんですねぇ!EINS(アインス)はドイツ語で「(イチ)」……一祐(カズヒロ)からですかぁ?スライム風呂!コーラメントス!影響を受けたストリーマーも察せて、チャンネル登録者数は二桁……何とも等身大で微笑ましい!』


 ああああああああッッッ!!

 せっかく忘れてた、クソ恥ずい記憶が……っ!全部っ!繋がっちまったっ!!


「おまえ……もう消したチャンネルだぞ!?ガキの頃の黒歴史を、今になって……っ!!」

『ははは、過去ってのは簡単には消えないんですよ!良い勉強ですね!』

「……くそっ、若気の至りだよ、まったく。今さらこんな地に足つかねぇ仕事なんて、まっぴら御免だぜ」

『またまた、RTAで鮮烈な再デビューしたじゃないですか?今度はきっと夢を掴めるかもですよォ?』

「……ぶっ殺すぞ」

『はは、いつまでも負けやしませんよ。返り討ちコラボ企画、お待ちしてますよ!』



『……ま、そんなわけで、炎上だの、過去の恥だの言っても、その人の人生ってのは続くわけです。生きてる限り、バッドエンドかどうかは死ぬまで分からないもんでしょう』

「いい話風にまとめてんじゃねぇよ……ってか、炎上の件も調べたのかよ」

『まあ、炎上っていうにはローカルな、ガキの身内の荒らしレベルでしたがね。今のカズさんが気に留めるようなレベルでもないでしょ』

「………………」

『幽霊の正体見たり枯れ尾花、ってやつです』


 ……まあ、実際そんなもんだろう。ガキの頃はこれがとにかく恐ろしく、記憶は徐々に肥大化し、必要以上な恐れとなり、のしかかっていた。多感な時期の出来事ってのは、あとまで尾を引くもんだ。


 一方で、現実として俺は「人の身に余るほどの大規模炎上」も、これまでの人生で数多く見てきた。炎上の当事者に非がある場合も、無い場合も、様々だ。

 それを想うと、やはり安全のためにネットの炎には近寄らず、弱みを見せないことが、唯一の正解なんだろう。


 ……やっぱり、このモグラ野郎との縁は、早めに切りたいところではあるな。


* * *


「……じゃあ、そろそろ切り上げるか」

『そうっすね、なんか配信に使えそうな案件があったら、こっちにも話投げてくれると助かります』

「お前なぁ……人の恥を暴いた直後にそれ頼むの、どういう神経してるんだよ?」

『まともな神経してる人間は、ネットにプライバシーや弱点を曝け出す、配信者なんてやくざな稼業はやらないんですよ』

「……はっ、違いねぇな」


 ……まあ、悔しくはあるが、人脈なり情報なり、コイツの持つ力に助けられたのは事実。

 お互い借りを返し切るまでは、付き合いも続けてやるか。


『ま、今後もギブ&テイクってことで、末永くよろしくおねがいしますよ。……結婚式に僕だけハブとかも、やめて下さいよ?』

「えー……、そっちはマジで呼びたくねぇんだけど……。俺の過去を、新婦や親族の前でしゃべりそうだし……」

『いや、んなことするワケないでしょ!第一、プロポーズの現場にいた友人を招待しないのは、流石にひどいですよ!』

「友人……かぁ?……うーん、何か違くねぇかなぁ」

『ひっ……ひっでぇ!人のことをなんだと思ってんですか!』


 ――火遊び好きの、腐れ縁のクソ野郎だよ。





最後まで読んでいただけた方は、下にスクロールして☆を入れて頂けますと幸いです。


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☆☆:最後まで読んだ

☆☆☆:悪くない

☆☆☆☆:良い

☆☆☆☆☆:最高!

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