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【連載版】実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す  作者: CarasOhmi
【番外編/終】実家住みおじさん、大好きなネコケモ婚約者と、明日へ向かって進む
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#48 月刊ホビーダンジョンWEB インタビュー記事(page.2)

# 【 丘坂市との協力関係 】


【 画像:yamagami_003.jpg / KAZU氏の写真。ろくろを回している。 】


―――― 丘坂総合運動公園に出現したダンジョンについて、丘坂市の後援を受けて探索をしたという話ですが、詳しく伺えますか?

 

KAZU氏 : 

 はい。まずこの一件に関してなのですが、私たちの親類について、健康面の問題解決のために、私的に願望機(ホープジェム)を使用したいと考えたことが出発点となります。

 ……詳細はプライバシーの関係で伏せさせていただきますが、市役所に問い合わせたところ「公共ダンジョンの攻略報酬については市民に開放している」と返答を頂きました。

 私どもとしては、親類の健康のために願望機がいくつ必要になるかの確証がなかったこともあり、法人として公共ダンジョン探索の案件を受けやすくなるよう、事業化して信用を獲得したい思惑がありました。


―――― 願望機を一般に開放しているんですか?


KAZU氏 : 

 意外に思われるかもしれないのですが、願望機(ホープジェム)には制約も多く、社会的に問題のある願いの実現にはプロテクトが掛かっています。

 そのため、市としてはそうした報酬を市民に開放することで、民間の探索者による攻略を促したかったんだと思います。

 ですが、その反面で探索者の武装の過激化などは問題になっているようです。


―――― MOGURA氏の配信でも話題になりましたが、七光(ななみつ)県知事の御子息のパーティーが、改造魔導重機でダンジョンを破壊した事案もありましたね。


KAZU氏 : 

 その予防も兼ねて、探索者の名簿登録と注意事項を市には周知していただいたのですが……皆が読んでいるというわけではないのが現状ではあると思います。

 前提として、今回の探索は運動公園ダンジョンを市の運営するアトラクション及び、ゴブリン部族の自治区域として、浮上させたまま観光資源にしたい意図がありました。

 そのため、あのような事態が起こってしまったのは、市と協働していた後援探索者としては、誠に遺憾です。


―――― MOGURA氏や、KAZU氏も、火器や爆発物を使用していましたが?


KAZU氏 : 

 探索用魔導兵装は、建造物を破壊しない、魔力弾を打ち出す非破壊性の物が大半なんです。

 ……というよりも、魔導重機が特殊で、ダンジョン内の構造物を破壊する目的の道具なんですね。

 これらは、あくまでダンジョン内の再開発に使う用途の物で、人に向けて使用する想定の製品ではありません。

 いくら「帰還の指輪(エスケープリング)」があると言っても、過信は禁物です。

 PvPなどの遊びも同様、安全面に配慮した製品を使うように心掛けてほしいです。


―――― なるほど。


KAZU氏 : 

 ……というか、ホビーダンジョンさんは魔導武器(マジカルウェポン)の新製品紹介とか扱う雑誌なんだから、私より詳しいでしょう(笑)


一同 : (爆笑)




# 【 異世界とキャシィ族 】


【 画像:yamagami_004.jpg / キャシィ族のLEA氏の写真。笑顔のポートレート。かわいい。 】


―――― インタビューの途中ですが、(株)山神ダンジョンスイーパーの従業員のLEAさんの撮影、取材許可を頂きました。よろしくお願いします。


LEA氏 : 

 よろしくお願いします。


―――― 簡単に自己紹介をお願いします。


LEA氏 : 

 山神レイチェルと申します。(株)山神ダンジョンスイーパーにて、後方支援と移動補助を担当しています。

 MOGURAさんの配信では、LEAの名義で出演させていただきました。


―――― KAZUさんとのご関係について伺ってもよろしいでしょうか。


LEA氏 : 

 はい。KAZUとは山神家の実家のダンジョンにて知り合いました。

 何かしらの転移事故に巻き込まれたらしく、気付けばこちらの世界に飛ばされていました。

 ダンジョン内で、モンスターに襲われていた所を、現地のゴブリンの方と協力し助けて頂いた縁です。

 しばらく、山神家には居候としてお世話になっていたのですが、現在はKAZUと婚約しています。


KAZU氏 : 

 彼女の元居た世界は前近代的な世界で、あまり明るいお話はできないので、来歴の話は控えさせて頂きます。


―――― わかりました。LEAさんの現代日本での生活について伺えますか?


LEA氏 : 

 はい。現在では(株)山神ダンジョンスイーパーのアルバイトとして、ダンジョン攻略業務を行っています。

 義母とPCスクールに通って、オフィスソフトの使い方を学んで、資料制作や広告なども作るようになりました。


―――― KAZU氏はIT系のフリーランスと伺っていましたが、彼から教わっているわけではないんですね。


KAZU氏 : 

 そのあたりは、教えるプロに任せています。

 なまじエンジニア経験があると、専門用語を使ってしまい、初学者にかえって難しくなるので……(笑)


一同 : (笑)


―――― LEAさんは、日本にきてカルチャーギャップなどを感じた出来事はありますか?


LEA氏 : 

 情報技術と科学文明の差ですね。

 インターネットもそうですが、医療や食品衛生など、生活の安心が大きく向上しました。

 近年、文化交流や人の行き来も始まっていると聞きますが、私のように驚く方もきっと多いと思います。


―――― LEAさんは既にこちらに馴染んでいる印象ですね。


LEA氏 : 

 私を保護した山神家の方に、親切に教えて頂いたのが大きいと思います。

 日常的には、衣服の調達やトリミング、爪切りなどについても、日本で実現可能なお店や道具を見繕って頂きました。

 また、健康保険や社会保険、在留ビザなど、こちらに滞在するために必要な手続きについても、山神家より支援を頂いています。


KAZU氏 : 

 (株)山神ダンジョンスイーパーの設立目的として、彼女の生活基盤を整えるということもありました。

 現在彼女は、母との養子縁組と、私の配偶者としてビザの発行手続きを進めています。

 それが完了次第、正式に正社員雇用をして、厚生年金や健康保険への加入を予定しています。

 その後は、日本への帰化も検討していますが、前例がないので手さぐりではあります。

 異世界人と日本人の婚姻については国内には前例がありません。

 そのため、米国や欧州を参考に、各所の調整や法整備を進めているそうです。


―――― 今後、異世界と日本の交流が盛んになった場合、LEAさんの手続き経緯が、ひとつの前例となりそうですね。


LEA氏 : 

 はい。私たちの事例が、日本の方と異世界の方が仲良くしていくための切っ掛けになれば、とても嬉しいです。




# 【 令和ダンジョン時代とは何なのか 】


―――― 最後に、お二人に伺わせて頂ければと思います。お二人にとって、ダンジョンとは何でしょうか?


KAZU氏 : 

 私にとってダンジョンとは、「恐怖」の対象でした。

 プライバシーや不法侵入など、「配信者」という存在を通して間接的に、私の生活環境を脅かす存在でした。

 しかし、反面で現代の魔導技術発展には無くてはならない存在であり、スポーツやゴブリン部族との交流など、文化的意義も決して無視できない存在です。

 そのため、単純に配信という行為を否定するのではなく、各々が公共財としての意識や節度を持ち、マナーやモラルをもって楽しんでいただければと思います。


LEA氏 : 

 私にとってダンジョンは、この遠く愛しい地へ、私を迎え入れてくれた「恵み」でした。

 私を大切にしてくれる、新しい故郷、新しい家族と出会えたことは、私にとって代えがたい喜びです。

 ですが、まだ世間は異世界人との交流は少なく、インターネット上では偏見や差別などもあると聞きます。

 私を温かく迎え入れてくれた山神家と出会えたことは、とても運が良かったのだと思います。


 これから、ダンジョン開拓が進み、異世界の交流が活発になると、こうした問題は増えていくのだと思います。

 その時、私のこの日本での生活が、これからこの国を訪れる方にとって、何かしらの助けになれば嬉しいです。

 日本のみなさん、今後とも善き隣人として、私たちと仲良くしていただけると嬉しいです。


―――― 本日はありがとうございました。


【 画像:yamagami_005.jpg / KAZU氏とLEA氏の写真。笑顔のツーショット。おしどり夫婦感。 】




 令和ダンジョン時代。地上とダンジョン。現世と異世界。インターネットとアンダーネット。これまで交わらなかった世界が交わっていく、そんな時代。KAZUさんの体験は、この激動の時代を象徴する新たな娯楽「ダンジョン配信」が生み出した、光と闇が凝縮されていた。しかし、そこにあったのは、現代への「失望」だけではないように見受けられた。

 異なる存在、異なる世界、異なる価値観、異なる人種……背反する「光と闇」が交わったところには、今までの世界をより幸せに変えていく「希望」があると、そう感じさせてくれたのではないだろうか。

 仲睦まじいKAZUさんとLEAさんの姿は、そうした明るい未来を描いた、令和ダンジョン時代を象徴する一ページといえるだろう。彼らの冒険の軌跡が、これからも末永く歴史に残っていくことを、彼らの出会いの場である「ダンジョン」を愛する一人としては、切に願うばかりである。




 取材:梅田(うめだ) 鳴露(めろ)




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