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【連載版】実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す  作者: CarasOhmi
【番外編/急】実家住みおじさん、大好きなネコケモ娘とお供の坊主を引き連れて運動公園ダンジョンRTAを再走する
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#35 DIRTY×DIRTY

「おい獅子辻っ!今のフードの……見たか!?獣人!ケモノだよ、ケモノ!」

「………………」

「いやー、正直ちょっとフェイクかなって疑ってたけどさァ……こうして見るといるんだよな!異世界種族!」

「………………」

「うおっ……テンション上がってきた!これで、この願望機(ホープジェム)を使えば……」

「タカシさま」

「……ん、何?」

「優先順位が変わりました」

「は?……どゆこと?」


「入り口で、スマホを首からかけてる男がいますよね」

「あー、MOGURAか。探索者の間じゃ人気者だよねぇ。興味ないけど」

「……あの青年を、最優先で落とします」

「えっ……別にいいけどさ、どうして?」

「『配信者』……だからです」


「……あっ」

「そう、私たちの姿が割れたら、彼の手で、この一件がネットに拡散されます。そうなったら……」

「………………」

「私は解雇、父君も不祥事としてその権力基盤は揺らぎ……タカシさまもまた、多大な損害を被るでしょう」

「……ま、まずいよ」

「……ええ。ですから、私も迂闊に表には出られません。先んじて願望機(ホープジェム)を確保したのは不幸中の幸いですが、ここからはこの『キルショベル』から出ずに、彼らを(たお)す必要があります」

「………………」

「彼を落とすまで、そのリスクは消えません。気を引き締めて参りますよ、タカシお坊ちゃま」


* * *


「おい、モグラ野郎」

「……LEAさんは後ろ姿しか映ってません。『耳』も見えないぐらいでしたね」

「………………」

「前から映す際も、髪はフードの中でチラチラ見えていたので、許容範囲かと思いましたが、大丈夫ですか?」


> うおっ、LEAちゃんの動き、何これ!?

> シールド→アクセルのコンボか?

> めっちゃ速いってか、壁走ってたぞw

> ちょっと人間離れし過ぎ

> 地を這うMOGURAとはモノが違うな


> 銀髪ふつくしい……

> めっちゃ綺麗だったけど、どうやって染めたんだろ?

> 染めムラないしウィッグじゃね?

> 回転着地でローブとスカートがふわっとして、お姫様みたい

> やっぱ顔出し配信デビューして欲しいな…


 ……俺も、彼女が全力で動いたところは初めて見たが、キャシィ族はホモサピエンスと身体構造が根本的に違う。その運動能力は俺たちを優に超え、魔法の力が加わることであそこまでの物になる、ということだろう。

 幸いにして、レイちゃんは「銀髪で超運動神経の、謎の美人配信者」程度の認識に収まっているようだ。コメント欄の動向は、再びフードで顔を隠したレイちゃんの姿を惜しむ程度に収まっていた。




> ん?

> おっ、処刑用BGM

> 流れ変わったな

> これ流す時、大抵MOGURAが先に死ぬんだよなw


 ふと、HUDに流れるコメントの流れが変わった。モグラ野郎は、手元でマイクをミュートにしている。BGMで聴衆の注意を逸らして密談か。手慣れてるな。


「KAZUさん、ここからの流れですが……おそらく、あの重機は僕を優先で狙ってくると思います」

「あー、お前一応、人気配信者だしな。知事の息子が重機使ってダンジョンぶっ壊しながら暴れてるなんて、公になったらまずいスキャンダル、撮影させるわけにはいかんわな」

「ですから、ここからは僕が囮として立ち回ることになるでしょう。加えて、視聴者の注目も、LEAさんから『あのショベルの中身』に移せます」

「『謎の重機を操る無法者の正体とは!?』って感じか」

「ええ、移動中は単に、ラスボス格で盛り上げ要素になりそうだからと、彼らの正体を伏せてましたが……これで彼らの正体を暴くことは、視聴者の『クリア報酬』になります。視聴者にとって『謎めいたLEAさんの正体』については、サブ要素に降格するってわけです」


 なるほど、それは俺たちにとっても好都合だ。

 ……まあ、向こうのボンボンどもは炎上をかけた勝負になるわけで、多少同情する所もあるが……、先に探索のルールを冒して重機を持ち出したのは連中。自分で蒔いた種だ。

 それに、ナツオさんをツブしたことだって、フタバは怒り心頭だったろう。なんなら、俺だって、短い時間だが一緒に探索した戦友として、大分イラっと来てる。

 ……こうしてみると「同じ釜の飯を食う」って、与える影響結構重いんだな。ナメクジとか言う人だけどさ。




「……じゃ、せいぜい途中で落とされないように気張れよ?お前のゲームオーバー後、配信は引き継がねぇからな」

「ええ、僕としてもこのスキャンダルは、チャンネル飛躍のチャンスですしね。機は逃しませんよ」


 モグラ野郎はニヤリと性格の悪い笑顔を浮かべた。やっぱりコイツ、厄介配信者だな。時代が時代なら、私人逮捕とかで暴れててもおかしくねぇや。仲良しになるのは御免だぜ。


 モグラ野郎は、マイクミュートを解除した。




「……と、言うわけでっ!最深部にはなんと、重機を使って大暴れする、謎のパーティーが!?ここまで、清く正しい攻略を推奨してきた当チャンネルとしては、まったく許せませんねぇ……!」


「そうっすねぇ。市の後援探索者としても、あんなの使って貴重な史跡をぶっ壊す、迷惑千万な輩は、看過できないっすわ」


「では、彼らの正体が何者なのか……さっそく僕らの手で、暴いていくとしましょう!」


 俺たちは、銃を構えて重機に向かって歩き出した。


 MOGURAの配信のコメント欄は、ネットの世界に揺らめく悪意の炎は、今ここに、新たな「薪」の存在を認め、妖しく揺らめき始めていた。

 獲物を前に舌なめずりをする、獰猛な獣のように――





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