#27 やろうぜ!ダンジョン配信
「ハイ、どーも!ダンジョン掘り掘り、MOGURA―TVでーす!今回は、緊急でカメラ回してまーす!場所は、丘坂運動公園!昨日と同じ、あのダンジョンでーす!」
> はじまた
> おつもぐ
> おは敗北者
> 取り消せよ……!
> 今日はないかと思った
「みんな、コメントありがとねー!『なんでまた同じダンジョン?』って思うかもですけど、実は、あれから『まさか?』の展開になりましてね!なんと、サプライズでビッグゲストをお呼びすることが出来ました!」
> ……ん?
> どうせHIMIZUだろw
> つーか、後輩のあいさつパクんなw
> パクリ草
> 恥の上塗り、恥ずかしくないの?かわいいね♥
「今回は『番外編』!うちのチャンネルとしては珍しいパーティー攻略企画!『ある人』をリーダーとした、総勢四名での攻略となります!……それでは、紹介しますね」
「『モグラ殺し』……こと、丘坂市後援ダンジョン探索者!KAZUさんです!」
> !
> は?
> モグラ殺し!?
> mjk
> ktkr!
> おおおおおおおおおおおお
「……はいどーも。丘坂市後援でダンジョン探索やってる『KAZU』でーす。趣味は不法侵入者の正座説教。特技はもぐら叩きでーす。よろしゃーっす」
……ハル坊から送られてくるコメント欄はえらいことになっている。
まあ、そりゃなぁ。昨日の今日だしな。話題性は抜群だろ。
「実はあの後、KAZUさんは既にダンジョンを攻略済みらしくてですね。RTAをやってたらしいんですが、記録は何と『二十七時間三十二分』!滅茶苦茶早いですよね!……けど、今回はそのタイムをさらに縮めていこうって話らしいです!」
> は?
> 嘘乙
> 週末でクリアとか無理ゲーだろ
> ヤラセじゃね?
「えー、はいはい。今回のダンジョン探索、一応市と協業することになってましてね。市も早めに全容把握しておきたいってことで、事前に内部構造を聞き込み調査した上で、最短経路で進んだ感じっす。隅々までのマッピングは追い追いって感じっすけどねー。最深部まで直に進んでその時間って感じっした。んで、今回の配信はその経路のおさらいと、ゴブリン文化の解説でもしていこうかってことでね。大体五時間ぐらいでクリア予定っす」
「前回はバトル主体でしたしねー!それはそれで楽しいですけど、せっかく冒険するんだったら、ご当地的な所も見ていきたいところですよねー!それで、再走にあたってですね、たまたま彼を地上で見かけた僕が、頼み込んで取材許可をもらった、って流れなんですよ!」
「これから、このダンジョンは地底に沈めず、市のアトラクションにするらしいですしね、ここらでこういう解説をしておくと、観光地としてもいいよねって事っす。『原住民殺そうとしたり、私有地に不法侵入したりするバカ』にも釘させますしね~」
「ちょ、ちょっと~wその節は申し訳ないって言ってるじゃないですか~w」
……ハルトのミラーリングした配信音声がかすかに聞こえる。こいつの道化芝居に合わせてドンドンパフパフと言った効果音が響いた。リアルタイムで音ネタ再生したり、モデレーターする裏方もいるんだろうな。大手はやっぱ大規模だ。
「それで、彼の協力者として、若手の配信者志望『†黒栖†』くんと「LEA」ちゃんも参戦です!二人はまだ知らないことも多いので、色々説明しながら進んでいきましょうねー!」
「はい、どっかのモグラ野郎みたいに、プライバシーや法令無視した配信をしないように、しっかり教育していきたいですね」
「ちょ、ちょっと~~~~っw」
> 草
> 草
> 不 法 侵 入 土 竜
> やっぱり臭い飯食うべきだよこの土竜w
* * *
リスナーと談笑しながら、俺たち一行はダンジョンを進んでいった。そして、ある地点で俺は後ろを振り向いて、MOGURAにハンドサインを送る。それを見て、奴は頷き、カメラの向きを変えて眼帯マントの方を向いた。
「じゃ、そろそろニュービーの紹介でもしていきましょうか~!まずは、黒栖くん!彼はソロでプレイしている子で、魔法主体の軽戦士タイプっていう、結構珍しいビルドなんですよ!」
「フフッ……俺は群れるのが好きではないのでな……誰に見られることもなく、孤独に舞い、闇の獣を葬り去る……それが俺の闘いなのさ」
「おおーっ!もしかして、その眼帯の下にも秘密があったり?やっぱり視聴者も気になってるでしょ?見せてもらいましょうかーっ!」
「フッ……いいだろう。封じられたチカラを知った、貴チャンネルのリスナーも、これで『契約者』だ……」
> 厨二草w
> すげぇ話したそうじゃんw
> 口 頭 契 約
> Eternal Force Blizzard... YOU ARE DEAD...
> カラコンでオッドアイと見たw
> 俺の中学生の頃のノート晒さないで >オッドアイ
> 顔は悪くないのに言動が残念過ぎる…
> お姉さま系リスナーに可愛がられそう
> この手の痛々しさからしか得られない栄養素はある
……奴の中二配信に、リスナーが食い付いている。今後もレイちゃんへの注目を逸らす良いデコイになってくれそうだ。
そして、その間に俺は通路の先の障害を……「地雷」の撤去に入った。
……流石に、市後援の探索者を名乗ってるのに地雷の件がバレるのは、いささか問題がある。なので、俺は事前の打ち合わせで、この撤去は動画に含めないように指示を出していた。レイちゃんも、俺のハンドサインに合わせて、耳を塞いだ。
――よし。俺は、地雷の起爆スイッチを押した。
* * *
「ハイ、どーも!ダンジョン掘り掘り、HIMIZU―TVでーす!今回も、ダンジョン配信やってこうってことでね!丘坂運動公園リベンジ中!チャンネル登録よろしくねー!」
俺の名前はHIMIZU……ちょっと前までゲーム配信メインだったけど、流行に合わせてダンジョン配信にも手を出すことにした、動画配信者だ!現実でもダンジョン攻略できるなんて、楽しい世界になったよな!
前回は、入場即爆破トラップというハメを喰らって、即帰還になっちゃったよ……。ダンジョン据え置きのトラップか、他の探索者か知らないけどさ、いくら何でも性格悪すぎだろ!
ただ、すぐに死んだのは運が良かったのも事実で、俺は再びダンジョンに潜り、剣と盾を回収できた!このまま帰ってこなかったんじゃ大損だよ!
さて、剣と盾も持った!そして、いよいよ俺は「第二階層へのポータル」の目前!
「いやー、初配信は地雷にやられちゃったけどさ!その後、なんとか地雷原を潜り抜けてここまで来たんだよ!……俺、結構すごくない?初配信で第二層までたどり着くのってさ、割と実力ある方なんだよ?ハメさえ喰らわなければ、これぐらい、俺にも行けるんだよ!」
おっ、コメントついてる!
> おめ
> ようやく一人前じゃん
> 期待
おー、いいねいいね!
なんだかんだ、あの爆死も切り抜かれて注目集めたからなぁ!
恥ずかしい落ちになっちゃったけど、ちゃんと応援する人も残ってくれたってコト!
> 爆死期待w
……おい!もうそういうのは良いんだって!
これで死んだら、完全にマヌケじゃん!第一層クリアしてめでたしめでたしで終わらせてくれよ!
ダンジョン露店で見つけた「魔導探知」のスクロール!この神アイテムのおかげで、もう地雷なんて怖くないぜ!
ほら、俺のすぐ近く……ここにも地雷は埋まってるけど、華麗に回避したんだよ!ざまあみろってんだ!
……さあ、行くぜ!リスナーのみんな!
俺の第二層突入……伝説の始まりだ!期待してくれよな!
――――――遠くから、爆音が近づいてきた。
* * *
「黒栖くんはHIMIZUくんと同じ歳だからねー!やっぱり、このぐらいになると一度はダンジョン憧れるよね!今度さ、同い年の子たちを集めて、座談会の配信やってもいいかもね!それに、もしかしたら今日これから同じダンジョンで会えるかもだし、合流して……」
> あっ…(察し)
> ?
「ん……?何かあったのかな?」
> 同時視聴してるけど、ちょうど今、HIMIZUが逝ったw
> 草
> なんでw
> 地雷回避して進んでたみたいだけど、第二層ポータル前で爆散したw
> 踏んだの?
> 余裕こいてたら勝手に爆発して巻き添え喰らったらしい
> (笑)
> ヒwwミwwズwwww
> 持ってんなぁwwwwwwwww
「あー……」
「……地雷ナンテ、酷ッデェコトシヤガルナァ~、誰ガコンナ事ヲ~」
「み、みんなも!ダンジョンに地雷を埋めるなんて、迷惑行為はしちゃ駄目だぞ!MOGURAとの約束だからね!」
> 地雷?妙だな…
> あっ……(察し)
> (察し)
> (察し)
> (察し)
……察するんじゃねぇ。
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