#14 山神家家族会議 議事録
日時: 令和17年4月15日
場所: 山神家実家
進行: 山神 一祐
議事録作成: 谷岡 春人
出席者:
山神 一祐
谷岡 二葉
谷岡 夏雄
谷岡 春人
山神 三樹
川澄 香菜子
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1. 本会議の目的共有
【結論】
以下の目標の達成のため、計画の立案を行う。
・「山神 レイチェル」の現世における健康と文化的生活の確保
【詳細】
山神レイチェル(以下レイちゃんと呼称)は、異世界招致により現実世界に転移したキャシィ族の女性。
彼女はホモサピエンスとは異なる系統樹の知的生命体であり、日本の医療や福祉の恩恵を受けることが出来ない。
これを解決し、レイちゃんに健康で文化的な生活を保障することを本会議の目標とする。
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2. 抱える課題
【結論】
レイちゃんの生活においては、以下の課題が存在する。
・戸籍、国籍、住民票の非所持
・健康保険証の非所持
・社会保険の未加入
・予防接種の未接種(人獣のどちらが適切であるか不明)
・食性の不理解(禁止食品やアレルギーの有無)
・診療に適切な診療機関の不在
【詳細】
戸籍と国籍の不在は、パスポート、遺産相続、口座開設や就業・進学に影響する。国の制度にも関わるので要調査。法務局や入管がこれらを担当すると考えられる。
これに際しては情報を慎重に開示する必要があるが、異世界人の転移事例はニュースにも存在。人道的観点から一時保護を行った者として、人権擁護委員などにも相談し、今回のケースに応じた解決を目指す。
また、在留外国人の事例を参考に、家主である「山神 幸恵」との養子縁組を行うことも考慮する。
福祉は、彼女の人生の上で獲得を急ぐべきものではあるが、生存の確保が最優先事項となるため、医療面から着手する。ただし、予防接種を人間と同じ物を摂取することは、今回のケースで適切か判断不能。
そのため、次項より言及する「願望機」を活用した解決を検討する。
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3. 願望機による解決
【結論】
本マジックアイテムの使用により、彼女の生理的問題を解決するアプローチは以下のアイディアが提示された。
(1)現世に存在する既知の伝染病の抗体の生成
(2)キャシィ族とホモサピエンスの生理的相違点を資料として出力
(3)レイちゃんの肉体のホモサピエンスへの変換
(4)レイちゃんの生活環境の整った別世界への転移
これらについて、願望機の執行システム「上位存在」に解答を求める。
【詳細】
(1)現世に存在する既知の伝染病の抗体の生成
現実的なアプローチで、彼女の体内に直接抗体を生成し病気を治療する方法がある。
ただし、未知の病原体や非病原性の疾患が発生した際に、人間以上に治療の困難性は上がる。
また、無制限な無病は、願望機の実現可能範囲を超える可能性があるため、自律志向を持つ「上位存在」に対し、これを確認する。
(一事例として、不老不死の実現を願った者が、それを拒まれた事例がインターネット上に存在するため、過信は禁物)
(2)キャシィ族とホモサピエンスの生理的相違点を資料として出力
直接的なアプローチではないが、彼女の病状理解のための医学的資料を生成し、医療機関に提出する。
ただし、医師免許を持つ者の医療行為において、これを活用可能かは未知数であり、実用性に疑問。
喫緊のレイちゃんの疾病リスクの低減ではなく、政府機関に提供するなど、キャシィ医療の発展のための一手段と考える。
(3)レイちゃんの肉体のホモサピエンスへの変換
これについては、医療の問題は解決するが、彼女のアイデンティティにも関わるため保留。
また、肉体の再構築が彼女の自我の連続性に与える影響も踏まえ、危険性が高い。
優先順位は低いが、提示された一つの意見として記録。
(4)レイちゃんの生活環境の整った別世界への転移
現実的に最も安全性が高いアイディアである。
完全な生理的互換性を持ったキャシィ族の生活する、社会制度の整った近代異世界に彼女を転移する。
ただし、これはそうした世界の実在性が不明であること、また山神家の総意として、彼女との家族関係を維持することを望む者が多数派であるため保留。
あくまで、安全が確保出来なかった最終段階で、レイちゃんに提示する可能性のひとつに留める。
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4. 願望機探索について
【結論】
調査の結果、丘坂総合運動公園の運動場に、近日浮上するダンジョンの攻略報酬がこれに該当する可能性が高い。
本会議参加の六名をダンジョン探索に配置。
探索は迅速に、即日の報酬獲得を目指す。
【詳細】
本件に際して、地下大魔網で情報を収集。
翻訳アプリ「ゴブリンガル」を用いてゴブリン間の情報を共有。5月12日(土)深夜2時に浮上可能性のある迷宮を特定。
攻略済みである「実家ダンジョン」の長を経由し、当該ダンジョンのゴブリンの長に連絡、当該魔法器の使用許可を取得。
また、ダンジョン浮上に際して、市役所を通して攻略許諾を取得。攻略開始に際して必要資材の調達を開始。
我々と同時に攻略を開始する冒険者の排除と並行し、最深部への強行軍を開始する。
発生した経費は、山神 一祐が、先日のダンジョン攻略で相続した資産から一時負担。
後日、市役所に成功報酬を請求予定。現在、一祐名義で法人設立届を提出中。
探索パーティーは、「山神 一祐」「谷岡 二葉」「谷岡 夏雄」「山神 三樹」「川澄 香菜子」の五名で編成。
「谷岡 春人」は、自宅より「魔導映板」による遠隔サポートを担当。
「山神 幸恵」には事情を通達、「谷岡 千亜季」「山神 レイチェル」とともに自宅で生活。
モンスターの排除、資産回収、マッピングなどの諸作業は、後日。
山神 一祐が軸となり、余暇の参加が可能なもので継続。
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5. 決意表明
レイちゃんは、山神家のかけがえのない一員である。
彼女の幸せは、山神家および、その関係者である我々全ての望みである。
これを護ることは山神家の総意であり、立ち塞がる全ての障害を排除する。
この決意をもって、当該攻略計画の遂行に臨むことを、本会議参加者は誓う。
★★★ みんな、力を合わせてがんばろう! ★★★
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― 以上 ―
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