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【連載版】実家住みおじさん、私道のど真ん中に湧いた邪魔なダンジョンと配信者どもをヘッドショットでぶっ潰す  作者: CarasOhmi
【番外編/序】実家住みおじさん、ダンジョンで保護したネコケモ娘の信頼をかけて母や妹とにらみ合う
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#5 車でGo Away!

 フタバは、車庫に置いていた自動車の後部座席にハル坊とチアキちゃんを乗せ、運転席に手をかけた。チアキちゃん、チャイルドシート卒業したんだな。時間が経つのは早えもんだ。


「じゃあ、カズ。オカンと一緒にレイちゃんの面倒ちゃんと見るのよ」

「言われなくともだ」

「……くれぐれも、スケベ心出すんじゃないわよ」

「出さねぇっつってんだろ。俺は、おふくろの……セクハラ?の方が心配だよ」

 俺は腰に手を当ててため息をついた。あのババァ、隙見てはレイチェルさんにベタベタ触りやがる。


「まあ、一般には褒められたものじゃないのは確かだけどね……」

 ミツキは眼帯マントを助手席に乗せる。……嫁さんを連れてくるより先にこいつの送迎に使うことになったのは、何とも言えないな。

「あの子も嫌がってるわけじゃない……というか、むしろ身体接触による安心ってのは、母さんも意識してるんじゃないかなぁ。境遇を聞くに、子供の頃にも親に甘えることはできなかったんだろう?」

「……まあ、な」


「俺たちもさ、今じゃあんな馬鹿みたいな口喧嘩が丁度いい距離感だけど、子供の頃は母さんに抱っこされたり、撫でられたり……それで安心してたはずさ。遅ればせながらでも、レイチェルさんにしっかり親子の距離感を味わわせて安心させてあげたいんじゃない?」

「………………」


 まあ、ミツキの言う事には一理ある。俺たちとレイチェルさんの境遇は全く違う。現代日本で、ある程度円満な家庭なら味わえたであろう安心を、彼女は人生で味わってこなかった。

 ……おふくろがどこまで意識してるかはわからん。というか、猫顔を見て初手で抱き着いたあたり、十中八九猫好きの暴走だと思う。だが、実際として、おふくろのスキンシップにレイチェルさんが安心を持つのなら、ある程度は看過しておくのが、彼女のためでもあるのかもしれない。

 ……行き過ぎたら止めるのは変わらんがな。


「……アンタは、下手に触れるんじゃないわよ」

「わかってるって」

 ……しつこいな、コイツも。おふくろの血筋か?


「……男だからってのもあるけど、カズ兄図体大きいからね。威圧感与えないようには気を使った方が良いかもよ」

「ああ……それはそうだな。あんまり近づいて怖がられないように、おふくろを牽制しとくよ」

「そこまで距離取る必要はないと思うけどね。俺らと同じ……はちょっときついか。うーん……フタバ姉の旦那さんとの距離感が丁度いいんじゃない?」

「ナツオさんか……」

 あまり頻繁には会わないし、他人行儀過ぎるきらいもあるが、それでも親族枠って感じだな。


「女の子ってこと考えたら、カナコちゃんの方が近いんじゃない?」

「……誰?」

「これからミツキの結婚する子よ。そういや会ったことなかったわね」

「あー……、俺を仲間外れにしてた一件のね」

「ごめんって……」




「じゃ、レイチェルさんには余ってるタブレット端末をセットアップして渡しとくから、フタバには定期的に話し相手になってもらえると助かる」

「そうね、女同士仲良くするわ。子供たちもレイちゃんには懐いてるみたいだし」

「チアキちゃんなんかは裏表のある歳でもないしな。もう田舎には飽きてるかもしれんが、時々会いに来てやってくれよ」

「……ダンジョン潜ってた時みたいに週一は難しいけど、ほどほどに来るから」

「むしろ、カズ兄やレイチェルさんとは、結婚の手続きで俺の方が顔合わせるかもね。カナコもその時に紹介するよ」

「そう、だな……。ミツキの嫁さんにも、レイチェルさんの話し相手になってもらえれば助かるよ」

「………………」


 ……情けねぇ話、だが。


 やっぱり、フタバだけじゃなく、ミツキも結婚していくってのを実感すると、寂しさというか、取り残された気持ちというか、そういうのがぶり返してくる。

 若さや自由への嫉妬心もある。……だが、それ以上に、ガキの頃、同じ屋根の下でバカをやっていたこいつらが、知らない他人とより親しい関係を築き、居場所を作ってライフステージを進めていること。その事実は、俺が同じところで足踏みしていることを、どうしても実感させちまう。

 ……この劣等感が、レイチェルさんをこの世界に呼び出すことに繋がったわけで、功でもあり、罪でもある。彼女が現世で楽しく生きられるようになったのなら、結果論ではあったが「良かったな」と思えることだろう。だが、彼女が山神に馴染んで、いずれこの家から巣立っていく日を考えると、きっと俺の孤独はこれからより深まっていくことだろう……。

 ……人生、ままならねぇもんだ。


「ところでさ」

 フタバがドアに手を触れながら語り掛けた。俺は我に返る。フタバは俺とミツキ、二人に視線を送っていた。

「アンタたち、『レイチェルさん』って呼びにくくないの?」

「あー、俺もそれ思ってたんだよね。外国人名というか、異世界人名というか、日本人の舌だと発音しにくいんだよね」

「まあ、こんな田舎じゃ、欧米系の外国人にも滅多に会わないしなぁ……」

「アンタらも『レイちゃん』でいいでしょ。愛称で呼んだ方が壁も無くなるわよ?」

「そうだね。……じゃあ、俺は次にカナコ連れてくる時に、『レイちゃんって呼んでるよ』って、紹介しよっかな」


 あー、いいな。嫁さんに紹介する流れなら、自然に移行できるじゃん。俺の方は、今更『レイちゃんって呼んでいい?』って聞くのか……?滅茶苦茶恥ずかしいな……。


「下心が捨てきれてないから、逡巡してるんじゃない?」

 フタバはドアを閉めながら悪態をつく。しつけぇってんだろ。とっとと帰れ帰れ。





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