表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
25/53

閑話・三者会談3

カルタとミレイと白夜を村まで送ったが、その際の飛行船擬きに再び興奮する三人だったが、白夜が搭乗を拒否した為に、空間魔法で拘束してから無理やり乗せたが、一度空へと上がれば、その快適さに興奮して、彼は飛行船の中を走り回っていた。


村まで行かずに、近くの空き地に飛行船を降ろし、三ヶ月後には迎えに来ることを約束して洞窟へと帰ったが、8それからは毎日毎日、瑠夏は部屋づくりに汗を流した。


造りながら、これって前世の洞窟住居の現代版みたいだなぁと思い、遠い将来遺跡に認定されたりしてと考えたりもした。


ーーーー

「お待たせしました。準備はお済みですか?」


飛行船擬きから降りてきたミルヴァが尋ねると、村の代表と思われる五本の尾と狐型の耳を持つ白髪混じりの老人が、申し訳無さそうに答えた。


「老夫婦一組と、比較的年長の三名の子供がこの村に残ることを決めたようです。私としても、四龍様のお側で暮らせることを考えれば、これほど有り難い提案は無いと提案したのですが、無理強いは決してせぬようにと念を押されておりましたので、それ以上は強く言うことはできませんでした。足腰も十分でない老人二名と十二名の三歳以下の子供となりますが、本当に宜しいのでしょうか?」


「全然問題ないですよ。それでは順番にゆっくりと乗ってくださいね。」


カルタとミレイも協力して、まだ満足に歩けない赤子や幼子達を乗せて、その子達を窓際の小さな椅子に固定した。


荷物を乗せた台車数台をそのまま収納空間に収納すると、その容量にカルタは驚いたようだった。


「残っている人達も、定期的に様子を見るんだろ?」


「うん、そうするつもり。残った人達は、私や白夜が獲物を狩って来ることも、あまり快く思っていなかったから、仕方ないかもしれない。」


瑠夏の問い掛けへのミレイの言葉を聞くと、前回の戦争の影響はまだまだ大きいみたいだから諦めるしかないと、ミルヴァ達はそう判断するしかなかった。


飛行船が飛び上がると、その窓から見える景色に歓声が上がった。子供達からだけではなく、長と呼べる程の年配の方にも喜んで頂けたようなので、帰りは少し遠回りして帰ることにして、洞窟へと向かった。


途中でジュースやお茶、和菓子や、クッキー、ポテトチップなども提供させてもらうと、そちらも子供、老人問わず大好評であり、良い出だしになったと瑠夏は少しホッとした。


洞窟到着後に、神殿の間へと案内したときの興奮は半端ではなく、三神の像の前で老人の二人が平伏したり、自室から出てきた四龍に驚いた子供達が大騒ぎしたりして、その狂乱は歓迎パーティーへと連鎖した。


子供達のプレイルームに設定された式場には、パーティグッズが飾り付けられ、テーブルにはケンタキフライドチキン、お蔵寿司、ミセスドーナツ、マクトナルトなどの商品が所狭しと並べられ、ペットボトルに入った各種ジュース、大人用の缶ビールに日本酒、チューハイ、ワインもセットされていた。


「ねぇねぇ、アイスは?プリンとかサンデーは無いの?」


前からいる獣人の子供の催促に、彩芽はニカッと笑うと、


「デザートも当然あるけど、ご飯をしっかり食べた人だけだからね。し..か..も、今日のデザートはスペシャルだからね。期待しててね。」


その告げた言葉に、そこに集まった子供達だけでなく四龍からも、


「「「「ウォォォォォ!」」」」


と歓声が上がった。お前らガキやないか!


食事も一通り終わり、不安視していた獣人の子供達と幻獣の子供達の間にも大きな揉め事はなく、いよいよデザートタイムへと移った。


「は〜い!今日は、色々なフルーツと生クリームがタップリ乗ったケーキと、はい、これはね、ホケモンというモンスターを模ったアイスクリームでできたケーキで〜す!者ども、驚きなさい!」


彩芽の音頭に、幼児だけでなく、赤ちゃん達までもが興奮して、悪ノリした、単に酔っ払ったと言うかもしれない四龍や大人達が、子供達と一緒にドバドバと涙を流し、大声で歓声を上げるのを見ていた幻獣の老人が、静かに涙を流して、瑠夏の手を取り頭を下げた。


「前の戦争から、今を生きるのに精一杯の私達には、こんな笑顔に溢れた時間は全くありませんでした。しかも、他種族の子供達と一緒になんて想像もつきませんでした。正直言って、今回の移住には私個人はあまり乗り気ではありませんでした。ただ、まともに動くことのできない私が村にいると迷惑がかかる。そう考えて移住を決意したのです。」


そう言って、改めて周りを見回して、彼は微笑みながら言葉を続けた。


「ここへ来て、僅か数時間で子供は、この場所を受け入れ、馴染んでいます。あの子達のあんな笑顔は初めてみました。」


「すみません。失礼ですが、お名前を伺っても構いませんか?」


えっ?と驚いた顔をして、その老人は簡単な自己紹介をした。


「儂の名は、百虎のホマレと言います。何もできない老いぼれで、世話だけかけてしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。」


この方なら、子供達の教育を任せても心配なさそうだと感じた瑠夏は、


「世話だけなんてとんでも無い。僕は、ここでホマレさんに、子供達に歴史を教えて頂きたいと思っています。四龍さん達は、俗世から離れすぎていますし、カルタさんやミルヴァさんは、裏の歴史まで詳しそうですが、あの方達には、科学とか武術とかを教えて貰いたいと思っています。この世界のありのままの歴史をホマレさんなら、きっとたくさん知っていると思うのですが、いかがでしょうか?」


と提案すると、ホマレは満面の笑みを浮かべて、それに応えてくれた。


「あなたは、こんな老いぼれにまで仕事を下さるのですか?引き受けましょう。最近五千年程の歴史なら、重箱の隅々まで知り尽くしています。任して下さい。それと、こちらは私の連れ合いで、タマモと言います。魔法の知識に関しては、誰にも負けないと思います。いかがでしょうか?」


魔法に関しては、自分の知識は全く役に立たず、ミレイの魔法も天才ゆえに判りにくいと感じていた瑠夏は、すぐに飛びついた。


「是非ともお願いします。獣人の子供達も魔臓はないと思っていましたが、寿命が短いので幼年期が短く、魔臓の成長する時間がない可能性があります。実際、魔力循環のトレーニング続けていたら、生活魔法程度のものは使用できるようになりました。僕ではこれ以上は無理です。是非ともよろしくお願いします。」


それを聞いたホマレは、自分の常識が崩れていくのを実感していた。人や獣人との争いは、魔法を持つ持たないことでの争いが根本にあったはずだった。その根本が間違っていた事を知ったからだ。


仲良く分け合いながらデザートを食べる獣人の子供達と幻獣の子供達、そこには既に垣根など無いように見えた。


この場所から、この世界が変わっていくかもしれない。ホマレには、それが実感できていた。


中途半端になってしまったので、深夜ですが一話追加投稿しました。

最後までお読み頂き誠にありがとう御座います。

何分にも素人連合でございますので、御評価頂けますと、今後の励みになります。是非とも最下部に設定されている☆☆☆☆☆でご評価頂けると有り難いです。

よろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ