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道中

「お父様、どうして私が一緒に行くことを許して下さったのですか?」


馬で並んで走りながら、先程村を出てくる時に突然同行を許してくれた意味がよく判らずに、トエがセキシュウに尋ねた。


「正直に言えば、あのままお前を置いていったら、二人が攫われたり、最悪の場合は殺される可能性があったからだ。」


それを聞いたトエには、その真意が判らずに更に質問を重ねた。


「いったい誰に殺されると言うのですか?他の村のアサシンに殺されるということですか?」


それを聞いて、答えるべきか一瞬悩んだセキシュウであったが、そのまま正直に答えることにした。


「可能性は二つ。一つはお前の言うように、他村の族長の指示によるもの。もう一つは、ムネノリを長とするヤグ村内の派閥だ。」


その意外な答えに、トエは改めて聞き直した。


「どうして兄様が、そんなことをするのですか?信じられません。」


セキシュウの顔に暗い影が差した。


「マサシゲをよく見てみろ。真っ白な白銀に近い髪の毛に藍色の房と、金色の房、深い海の底のような深蒼の瞳と光り輝く金色の瞳のオッドアイ。誰が見ても魔臓持ちであるし、しかも二属性というエルフやドワーフにも珍しいタイプだ。」


それを聞いたトエは、背中で編み込んだ髪の毛を引っ張りながら遊んでいるマサシゲを、チラッと振り返った。


「ウンエノの国には、決まり事がある。『先祖返りの魔臓持ちが現れた場合は、其の者を国の長として、一つとなって支えねばならぬ』という古くからの掟だ。マサシゲは、洗礼の儀の後に、先祖返りの魔臓持ちであることを公表する予定であった。さすれば、当然ヤグ村の族長はマサシゲとなり、ウンエノ十三族を纏める者となる。誰が、そのことに不満を持つかと考えれば、自ずと答えは出る。」


(なるほどなぁ、だから俺は屋敷にいる時に、幾度となく毒を漏られたのか。納得だよ。もしもポイソナ覚えてなかったらとっくの昔に死んでたもんな。水魔法に適正があって本当に良かったよ)


トエの背中で揺られながら、マサシゲはそんなことを考えながら、ひたすらに魔力循環を繰り返していた。異世界転生あるあるの一つ『赤ちゃんのうちから魔法を使っていると、魔力量を増大させることができる』を実践していた。ただし、とある理由で彼の魔力量は生直後より膨大であり、そのことで魔力量を増やすことはできなかったが、魔法を使用する上で必要不可欠な緻密な魔力コントロールを訓練することはできていた。


「この子はこれからの一生、命を狙われ続けるのは間違いない。だからこそ誰にも負けないほど強くなる必要があるが、儂らでは魔法を十分に教えることはできん。さすれば儂らの持つ刀剣術を余すことなく教授する必要がある。」


そのセキシュウの言葉にトエは大きく頷いた。元より身体を動かすことは大好きで、特に刀の才能は抜きん出ており、既に免許皆伝に至っている彼女にとって、己の持つ全てをマサシゲに伝えることこそ我が使命と心に決めた。


( 刀剣術を教えて貰えるのはありがたいなっていうか、刺客多すぎないか?まだ一日目だというのにこれで三組目だぞ)


マサシゲはアクアサーチで探知した二人組の刺客に向けて直径二ミリ長さ五センチ程の氷針(アイスニードル)を放ち、二人の両目玉を貫いた。


(魔法の鍛錬になるから、こちらとしては有り難いけど、この人達本当に達人なのか疑問になるよね)


ただ道に飛び出してくる魔物を、馬上から斬撃を飛ばして一刀両断する二人を見ていると、刀に関しては超一流だと納得するしかなかった。


旅を始めて、既に一ヶ月近くが経過していたが、目的地となるドラマドル帝国の王都まではまだ半分ほどの距離を残しており、その間にマサシゲはハイハイができるほどまでには成長していた。


その頃より、手には手作りのナイフくらいの大きさの木刀を始終握らされており、背負われている時に、誤ってトエの頭を叩いてしまうことはあったが、それも温かい目で見られることが多かった。


しかし、その回数が増えて力も強くなり始めると、トエはおんぶ中は頭巾を被るようになった。やはり痛かったんだろうとマサシゲは反省していた。


ある宿場で宿の二階に泊まっている時に、二十人ほどの賊に襲撃されたことがあった。


部屋の入り口と窓から侵入してきた賊は、物盗りではなく、明らかに三人を殺すような動きを見せた為、セキシュウとトエは縦横無尽に動き回り、片っ端から斬り捨てていった。


(おい、一人は俺をガードしろよ)


と思いつつマサシゲが、水魔法で身を隠そうと思った瞬間、横あいから伸びてきた手が彼を掬い上げた。マズいと思った瞬間、マサシゲは一つの水刃(アクアブレード)で相手の両手を切り落とし、もう一つの水刃(アクアブレード)で首を落とした。


噴き出す血でゼンシンが血まみれになったが、彼は冷静に水浄(アクアフレッシュ)でその身をキレイにすると、そのまま部屋の隅へとハイハイして移動して、水隠(アクアミラージュ)で身を隠した。


十分ほどで、部屋に押し入った賊は全て殲滅され、一息ついた二人はやっとマサシゲのことを思い出し、慌てて部屋を見回しても見つからない。焦って部屋を飛び出そうとしたトエの前へ水隠(アクアミラージュ)を解除して、マサシゲがハイハイしていくと、感極まったのかトエが泣き出していた。


「ごめんねぇ、怖かったよねぇ、もうこんな思いはさせないからねぇ。」


と懺悔するトエに、絶対またやるなと呆れるマサシゲだった。


すると、二人を見ていたセキシュウが驚いたような声でトエに告げた。


「このマサシゲは、既に隠形の術を使うぞ。誰も居ないはずの部屋の隅からハイハイしてきたのに御前は気づかなかったのか!」


「えっ?まさか、まだ八ヶ月にもなってないよ。ありえないよ。」


そう断言されたマサシゲは、少し驚かしてやろうと、水隠(アクアミラージュ)を使用した。


すると、目の前で抱っこされているマサシゲの姿がだんだん薄くなり消えていくのに、トエは気がついた。自分の手の中にしっかりとした重さがあるのに姿が見えない。その不思議な光景に、トエの背には悪寒が走っていた。


自分の子供に最高の才能があると理解した瞬間だったが、トエはその子供に恐怖心も抱いてしまった。このことが二人の関係性に影響してくるのは、もう少し後になってからのことである。


「おっ!やはり隠形の術が使えるのか。恐ろしいほどの才能だな。これでヤグ村だけでなく、ウンエノ国の未来も保証されたな。」


それは手放しで喜ぶセキシュウとは、全く相容れぬ感情だったと言える。


そこからの一ヶ月ほどの旅はすこぶる順調であった。追ってくる者もなく、今回のように宿が襲撃されることもなかった。時折り出現する盗賊や魔物はいたが、三人の支障になるようなものは全く出現しなかった。


最後までお読み頂き誠にありがとう御座います。

何分にも素人連合でございますので、御評価頂けますと、今後の励みになります。是非とも最下部に設定されている☆☆☆☆☆でご評価頂けると有り難いです。

よろしくお願い致します。

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