~第二話~ 学校
二話です。天稀の高校生活です。正直ここはすごく重要な話ではないですが、天稀の友達や前日談で成長した性格などがわかると思います。
ワールドディザスターから2年、世界はその多くが荒れ、無法地帯と化していた。建物は崩れ、至る所に大きな地割れが走り、いつヒルヴィオに襲われるかわからない。そんな世界に保証された安全など無かった。しかし、それでも世界は、人は歩み続ける。そのあり様を大きく変えながら。
キーンコーンカーンコーン...
彼、神谷天稀は高校二年生。彼はワールドディザスターにより両親を失っていた。その苦しみ、悲しみ、怒りは消えることはなかったが、それでも自身の母親と交わした生きる“誓い”を胸に、世界と向き合っていた。
(これで二限目は終わり。次は...)
「天稀!次、異能実習だぜ。グラウンドいっしょに行かねーか?」
「ああ、いいよ。」
「えー、はい。全員いるな?じゃあ今日は魔法をやっていく。だがとりあえず準備運動もかねて、ペアを作って魔力射撃の打ち合いだ。受ける側は防御魔法な。」
「ペア組もうぜ、天稀。」
「そうだな。」
「いくぜ!おら!」
バンッ
魔法の玉が放たれ、それを天稀が魔法の盾のようなもので防ぐ。
「別にもっと強く撃っていいぞ。」
「そうか?よーし、じゃあちょっと強く...」
バンッ
「前より上達してるな。お前こういう繊細な操作苦手なのにな。」
「ふっふん。俺も成長してるのだよ。しかしそれを余裕に防がれるのはなんかいやだな。」
「防御魔法は得意だ。そう簡単に破られてたま...」
天稀に横から火の玉が飛んでくる。
「「!?」」
「おい!なんのつもりだ!」
「ごめんごめん、ちょっと方向がずれてね。でもお前は防御魔法が得意なんだろ?そう怒るなよ。まあ守るだけじゃ何もできんがな。ハハハハッ」
(なにがちょっとだ...完全に真横じゃないか。天稀が気に食わないからってふざけやがって...)
「別に気にしてない。だが、今は魔力射撃の時間だ。特質を使うな。」
「別にいいだろ?準備運動さ。それともなんだ?自分に特質がないのが悔しいのか?あーぁやだやだ。持たざる者はこれだから。」
「こんのっ」
「やめろ昇斗。あんな馬鹿相手にするな。特質を持っているだけで慢心して実力がないやつに、興味はない。」
「だれが、、バカだってぇ! 加減しねぇぞ。炎に焼かれて苦しめ!ファイアボール!」
ドンッドンッドンッ
連発される火の玉を天稀がすべて防ぎ、その辺の石を操って相手の額に当てる。
ゴツン
「かはっ いてぇー、てめぇ...」
「やめろお前ら!今は授業中だぞ。」
「いっ す、すいません...」
「あれ?先生さっきまで職員室に忘れ物とか言ってたのに早いですね。」
「京極が呼びに来たんだ。」
「なるほど昇斗が。」
「あいつがファイアボールを撃ってる隙にな。」
「まったく、とりあえず授業を進めるが、火野、お前は後で来い。」
「うぐっ」
(ワールドディザスター以降地球上に確認された数々の異能にヒルヴィオ、それらは学校にも影響を与えた。あんな災害があってなお学校があること自体不思議だが、今はその話ではない。魔力や魔法、特質といった異能は使いこなせば、大きな力となる。しかし、制御できなければその身を滅ぼすかもしれない。そこで、学校で異能実習の科目が追加されたわけだ。)
「ったく、境吾め。いきなり撃ってくるなんて信じらんねぇな。」
「もういいだろ。あんなやつ。ほっとけ。」
(こいつは京極昇斗。他人との関わりをあまり好まない俺に、ある日いきなり話しかけてきた。はじめはめんどくさかったが、なんだかんだ上手くやっている。友人だ。逆にさっき俺に攻撃をしてきたのは火野境吾。特質持ちだが、それ故に特質のないやつらを見下している。まああんなのはどうでもいい。)
「まっ 今頃こっぴどく叱られてるか。それより今日も天稀は放課後用事があるのか?いい加減何してるか教えてくれよ。」
「別に。大したことはしてない。」
天稀が足早に歩いていく。
「あっ おい待てよ~」
(実際大したことじゃない。ただ、ヒルヴィオを借りに行くだけだ。俺は、強くならなけりゃいけないから。ヒルヴィオを倒して倒して、鍛えて、大切な人を守れる強さを...!)
二話、楽しんでいただけたでしょうか。個人的には満足できなてないんですよね。もっとしっかり学校生活について書こうとも思ったんですが、複雑になりすぎてしまったり学園が中心の作品になりそうで。ちょっとそれは違うので、そんなに深掘りはしてません。それもあってちょっと作りが不満足ですが、どうでしょう...っと、次は三話。そろそろ不穏な予感がしてきますね~