~前日談~
新しい作品です。何分素人なのであまり上手ではないかもしれませんが、少しでも興味を持ってもらえたら幸いです。一話を作るより先に前日談を書きましたが、普通はどっちが先なのでしょう。ぜひ見ていってください。
「我が体に眠る無限のエネルギーよ、さあ力を貸せ、究極魔法アメージングファイア!」
「世界は、我が手の中にっ!フハハハハハハッ」
ピッ
「早く出ないと遅刻するわよぉ!」
「わかってるっ。今行くよ!」
「天稀は今日も学校か。父さんは今日休みだからな。いーだろ。」
「はいはい。でもあんまだらけすぎんなよ。」
「わかったわかった。」
「よいしょ、じゃあ行ってきます!」
タンタンタンタンッ
階段をリズムよく降りていく。
(やばいやばい、新作のアニメ見ててもう時間ギリギリだ。全く...我ながらルーズすぎる...
玲菜はちゃんと早くに出たっていうのに。
まあいいや、今日もなんとか間に合うっしょ。)
(僕の名前は神谷天稀。至って普通の中学三年生の男子。だと思う。
こんなテンプレみたいな自己紹介で本当に普通だった主人公なんて何人いることやらだしね。
趣味はアニメや漫画。いわゆるオタクに近い。あくまで好きってだけで、超オタクってほどではない。
ちなみに成績はいいほう。模試でもそこそこ上位には食い込む。運動神経も並以上ではある。
文武両道ってやつだ。たぶん。周り曰く欠点としては怠惰なことらしい。失礼な話だ。
やる気がないだけでやることは最低限こなしているのだ。
それより、あのアニメ、作画は悪くなかったけど、ストーリーのつくりが悪いな。
あからさまな展開で全くワクワクしない。原作は割と好評だったらしいけどなぁ。)
天稀が赤信号で待っていると、自転車に乗った少女が声をかけた。
「おはよう。神谷君。今日も遅刻ギリギリ?」
「おはよう。そうだね、新しいアニメを見てたらついね。」
(彼女は小鳥遊美嶺、彼女は学年のマドンナの一人。おとなしめだがフレンドリーで、ちょい陽キャって感じだ。容姿が良く頭もいい。通学路が被るので、たまに話しかけてくれる。)
「ふ~ん、まあほどほどにね。私は自転車だからいいけど、神谷君は歩きだから...間に合うの?」
「運動神経はいいんだ。当然歩くのも速い。」
「へ~なるほどね~。あ、信号青だ。先行くね。また学校で。」
「ああ、うん。また。」
そうしてまた歩いていく。
このまま、いつも通り学校につく。そう天稀は思っていた。しかし次の瞬間、
激しい衝撃が世界を襲った。
「なんだっ?」
「きゃーっ」
「ママ―!」
至る所で悲鳴が響く中、揺れはさらに強さを増していった。天稀はバランスを崩して地面に横たわった。
揺れが続く中、ほのかに紫や青に光る霧のようなものが世界を覆い、揺れが収まると同時に、その霧のようなもの、後に“魔力”と呼ばれるものは見えなくなった。
(いてて...たまたま近くに倒れてくるような建造物がなくて助かったか。それにしてもなんなんだ今の!?地震か?いやもっとやばい何か。ああもうなんだ一体!)
近くにいた人のスマホからニュースが聞こえる。
「大変なことが起きています。世界中でほぼ同時に地震が発生しています。発生した原因や詳細はまだ判明していません。ただいま揺れは収まっているようですが、念のためみなさんは、さらなる衝撃に備えて安全な場所へ避難してください。くりかえしお伝えします、ただい...」
(ヤバイッ...ヤバイだろこれ...母さんは、父さんは、玲菜は?いや、玲菜は学校だろうから、きっと大丈夫。それより父さんと母さんの方がやばい。)
既に周りは地獄と化していた。様々な建造物が崩壊し、道にも大きな地割れがいくつも。相変わらず聞こえる悲鳴に加え、サイレンの音も。火事も発生している。
天稀は、無心で自分の家へ走った。家族の無事を祈って。
だが、そんな天稀に世界は残酷な現実を告げる。
天稀の家のあったはずの場所は、山のふもとであったこともあり、土砂崩れが起き、家など跡形もなく潰れていた。
「っ......うそ、だよな?なあ、そんなはずない。きっとまだ、まだ。なあ、、母さん!僕だ、天稀だよっ!父さん!どこにいるんだ!?なあ、おい...返事をしてくれよぉ!!」
「天...稀.........」
「っ母さん?」
声のした方に行くと、がれきの下に手が見えた。
天稀ががれきをどかすと、彼の母が横たわっていた。
「母さん!大丈夫...じゃないよな。今助けるから、ちょっと待って...」
「いいえ天稀。もういいわ。大丈夫。」
「...い、いや、大丈夫じゃないだろ...いいからじっとして」
「天稀。もう気づいているでしょ、私はもう助からない。父さんも私をかばって先に逝ってしまった。」
彼女は、全身から出血をしていた。あたり一面が真っ赤に染まるほど。そして、天稀は気づいているかいないか、がれきの下で彼女は両足も失っていた。
「そ、そんなの...い、いやまだあきらめない。だって、だって...!」
「人生には、決断しなきゃならないときがあるの。あなたにとっては今がその時。天稀。あなたはもう十分立派になった。調子にのりがちなのがたまに傷だけどね。」
天稀の目には、どんなにこらえても抑えきれない大粒の涙が、あふれていた。
「そんな最期みたいなこと言わないで。僕まだ、何もできてない。母さんが、父さんがいなきゃ何もできない...一人で生きることなんて。父さんも母さんも逝くなら、僕も一緒に...」
「天稀!甘ったれたことを言うな。家族が死んで自分も死ぬなんて。お前には、これからどれだけの人生が待っていると思っているの。生きれるのに生きないのは、生けるすべてに対する愚弄なのよ。たとえ苦しくてもあなたは生きなきゃいけない。私たちの分も、あなたが生きるの!どんなに醜くてもつらくてもそれがあなたの運命で使命で権利で願いだから。生きて、たくさんの人を救って。大丈夫。一人じゃない。あなたには友人も妹もいて、私も父さんもずっとあなたと玲菜のそばにいる。だから、だか、ら、あなたは、生き、な、、さ、、、い......」
バタッ
母の手から力が消える。
「っ...母さん!母さん!母さぁん!...く...ぅ......。ああ、わかった。わかったよ。僕は...俺は絶対に母さんの思いを裏切らない。生き続けるよ。ずっと、ずっと強くなる。もう二度と大切な人を失わないように。この手で守れるように。それが俺の、母さんへの“誓い”だ。」
それから、2年がたった。あの災害で世界は混沌の中へ落ちていった。世界中で同時に大きな地震が起き、地割れに津波など、数々の災害が連続して起きた。しかしこの地震は、単にプレートの動きによるものではないだろう。なぜなら、世界中のあらゆる場所が同時に揺れたのだから。こんな事態は過去に一度もなかった。また、それだけではない。揺れと同時に、世界中を覆った霧のようなもの。これは、魔力と呼ばれ、空気のように、触れられないのに確かに存在していた。いまだにその秘密は明かされていないが、魔力は世界中にあり、なぜか、人間を含む生物が自分で生成し溜めることができる。そしてこの魔力により、一部の動物が変化したり、新しく生まれたりした。そしてこの怪物を世界は魔物と呼んだ。ヒルヴィオには友好的なものとそうでないものがいるらしいが、これも詳しくはわかっていない。
あの災害と突然現れたヒルヴィオにより、人類はその三分の一が命を落とした。人口の減少に世界の崩壊、新たな生物に力。世界は大きな変化を遂げていた...
書く前は、書きたいと思っていたことがいろいろあったのに、いざ書いてみるとなかなかうまく進まないものですね。やはりプロの作家さんはすごいなと実感します。
さて、“Ruler's oath”、どうでしたでしょうか。といってもまだ前日談なので全く始まっていないのですが。
なかなかうまく進まないとは言いましたが、書きたい大まかなストーリーはもともとあったので、内容には困りませんでした。しかし、文として書くのはまるで別ですね。文ごとのつながりや言葉の使い方がおかしくないかなど、神経を使います。
とまあ素人なりの苦労がありましたが、まだ前日談のみ。始まってもないのに疲れてどうする!?
こっからストーリーが展開していくので、ぜひ少しでも見てもらえたら幸いです。