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85 巡礼教団

 今から四百年ほど前のことになる。


 最終戦ともいえる世界大戦を経て、人類はまさに滅びようとしていた。

 すでにワールドと称する世界政府が樹立していた。

 だが、世界規模で進む人類の衰退を押しとどめることはできなかった。


 大地、大気、海洋の汚染がいよいよ深刻化し、エネルギー、食料の逼迫度合いは増大するばかり。

 加えて、疫病の蔓延。

 人口の急激な減少はどのような手段をもってしても食い止めることはできなかった。


 社会がすさむ一方、神を信じる者たちは、その信仰心を先鋭化させていた。

 存在しようがしまいが、神というものにすがるしか、救いはなかったとも言える。


 アメリカ大陸の荒野で生まれたある教団の教えが、瞬く間に世界中に広まったのはそんな時代だった。



「神の国が宇宙のどこかにある」

「宇宙は神が作られ給うたもうたものである」

「救いは神の国にこそある」


 神の定義にもよるが、ありもしないそんな考えが、いつしか伝説となり、あまねく宗教の壁を超えていった。


 伝説は、あるものにとっては真実となり、あるものにとっては都合のいい教義となった。

 ただ、世界の宗教がひとつになる初めての萌芽ともなったのである。


 そして、ついに超党派宗教ともいえる「神の国巡礼教団」が生まれた。

 しかも、瞬く間に世界政府と肩を並べるほどの力を持つに至ったのである。

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