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78 約束、忘れたのね
女はすでに目の前に迫っていた。
水面に、立ち止まっている。
隊員ではない!
ンドペキは急減速した。
「ンドペキね」
言うが早いか、相手は突進してきた。
攻撃される!
銃を放った。
が、的を外したわけではないのに、相手の姿は消えていた。
「あっ」
相手ははるか頭上にあった。
回りこまれる!
ンドペキは一瞬の内に体勢を立て直し、その場に停止した。
「撃つなと言った」
また声が聞こえてきた。
相手はまだ頭上。
飛び上がったときの機敏さとは違って、どことなくふんわりとした動作で飛び越していく。
「約束、忘れたのね」
そう言って、相手は地上に降り立った。
撃つわけにはいかない。
チームのメンバーに当たるかもしれない。真後ろにはチョットマがいるはず。
彼女なら避けることはできるだろうが、万一油断していたら。
ンドペキはネオ粒子サーベルを抜いて襲い掛かった。
が。
「次に会ったときには」
相手はそう言うと、一瞬の内に遠ざかっていった。




