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728 自由で愛に満ちた新しい世界を
「人」とは、なんだろう。
イコマは、そう考えずにはいられなかった。
パイサイドの帰還によって、そしてアンドロの蜂起によって明らかになったこと。
まだ、ワールドが一枚板になっていなかったこと。
新しい地球人類のあり方を提示するまでには至っていなかったこと。
多様な人が暮らしていることを知った。
感情を持とうとしている人造人間アンドロ。
そしてクローンが、人として、自分がクローンであることを知らずに暮らしている。
アギやマトやメルキトはもちろんのこと、パリサイドとの融合、アンドロとの融合、そして世に隠れたクローン達との融合の姿は、未来の人類社会の中に見えてくるのだろうか。
あの推理会議から、五日が経つ。
いよいよ、明日から、新しい一章が始まる。
ニューキーツの街の奪還に向けて。
行動あるのみ。
そんな気分が洞窟内に静かに沸騰していた。
ここに生まれた信頼の太い絆。
隊員たちの明るさ。
これがあれば、勝てるのではないか。
街の奪還の先に、自由で愛に満ちた新しい世界を切り開けるのではないか。
イコマは、ンドペキは、そう思うのだった。




