727 悲しみと寂しさの葉っぱの上に
ンドペキは思う。
自分の愚かさによって、レイチェルとサリというふたりの女性を失ってしまった。
ふたりの表情が、ふたりの声が、そしてふたりの名前が心から消えることはないが、沈んだ顔は見せるまい。
目の前には隊員たちがいる。
アヤがいる、スゥがいる、ユウがいる。
そして、チョットマも。
サリと同じ任務を与えられていたチョットマが。
自分がもし、彼女の気持ちに気づいていて、あの日、サリではなくチョットマを、と考えていたなら、彼女の運命はサリの運命だったはず。
これ以上、チョットマを悲しませるわけにはいかない。
レイチェル。
かわいそうな娘。
課された責務に押し潰されてしまった若い命。
あまりにもむごい、短い生。
いや、レイチェルの死は未確認。
とはいえ……。
刺され、渦を巻いて流れ下る地下水流に巻き込まれては……。
すでに海に流され……。
レイチェルを思うとき、だれしも悲しみと寂しさの葉っぱの上に、後悔の涙をひと滴落とす。
ひとりのうら若き女性として、彼女を思ったことがあったろうか。
彼女の心を、我がこととして、あるいは我が娘のこととして、受け止めたことがあったろうかと。
しかし、洞窟の中で、レイチェルが話題になることは多くはない。
ハワードであれ、ロクモンであれ、そしてアヤであれ。
チョットマの心情を慮って。




