724 おでこにキス
チョットマを見守ること。
それがレイチェルから与えられたもうひとつの任務。
このハワードの言葉の意味は、誰にでも分かる。
サリと同様、チョットマもレイチェルのクローン。
そして、レイチェルの恋人探しのための人形。
だから、チョットマとレイチェルは似ているのだ。
だからこそ、レイチェルはチョットマに、さまざまなことを言ったのだ。
サリと同じ隊の兵士になるとは、思ってもみなかった、とか。
別の隊にスカウトされるのが理想だったのよ、とか。
私の個人的なことで、チョットマは用無しになった、とか。
そして明確に、サリもあなたも同じ人を好きになってしまった、と言ったのだった。
初めてレイチェルと面会したとき、面識はないはずなのに、レイチェルは明らかにチョットマのことを知っていた。
そのことに違和感を持ったのだった。
チョットマ……。
顔を上げておくれ……。
アヤが手を握ってやっている。
スジーウォンが大きな声で言葉を掛けた。
「チョットマ! あんたはあんただからね! 気にすることじゃないよ!」
「君は、僕の娘だよ」
イコマも言葉を添えた。
イコマは思う。
バーチャルであっても、身体があればいいのに。
そうすれば、抱きしめてあげられるのに。
涙を拭ってあげられるのに。
ンドペキが立ち上がった。
しゃがんだままのチョットマに近づき、髪に触れて顔を上げさせた。
おでこにキスした。
そして、自分の胸に顔をうずめさせた。




