721 お相手探しの「人形」としての役割
「先ほど来、イコマさんが示唆されていること。そのとおりなのです」
つまり、レイチェル長官はサリを使ってお相手探しをされました。
そして、ンドペキ隊長がふさわしいと思われたのです。
むしろ、ンドペキ隊長に本当の恋をされたといっていいでしょう。
実は……。
ハワードがまた苦しそうな表情をした。
「私の任務は、レイチェル長官のクローンであるサリを見守ることでした」
データ化された情報ではなく、この目で見て、この耳で声を聞いて。
そして万一の時には身を挺してでも守る、というものでした。
ハワードは街に出て、サリにつかず離れず、時には声を掛けて顔見知りになり、場合によっては特別にあてがわれた一人用の飛空挺を駆って、サリの様子を見ていたという。
「サリの消息不明が、東部方面攻撃隊の中で話題になっていることも知っていました。私は心が痛みました。あれは、レイチェル長官による強制死亡処置なのです」
ですが、長官のお相手探しの「人形」としてのサリの役割は、終ったわけではありません。
しかし、ンドペキ隊長を見つけたことによって、ひとつの成果を挙げたわけです。
彼女は、次の候補探しを始めなくてはいけません。
そのために、レイチェル長官はサリを強制死亡処置にしたのです。
タイミングは、ンドペキ隊長がサリを食事に誘ったことで確定しました。つまり、即刻です。
そして、記憶を抹消した状態で、いずれ再生させるはずだったと思います。
「ではなぜ、サリはまた東部方面攻撃隊に合流しようとしているのか。私は恐れました。単なる合流を画策しているわけではないのでは、と」




