720 再生は、時期的に考えて
「私は、任務を……」
ハワードはしゃっくり上げ、手の平で涙を拭った。
アンドロならではの感情の爆発である。
コントロールがままならないのだ。
「……、全うすることができませんでした……」
そして、また涙をこぼす。
「私がここに来たのは……」
大きく息を吸って、気持ちを落ち着けようとしている。
イコマは、もしハワードが話さないなら、自分が推理を展開し、ハワードの追認を求めようと考えていた。
しかし、それは杞憂に終わりそうだ。
ハワードは苦しみながらも、真実を話すだろう。そんな気がした。
「長官をサリから守ろうと……」
ハワードは、サリが再生されたことを知り、彼女の様子を見ていたという。
「実は、サリは記憶が抹消されて再生されたものと思っていたのです」
しかし、様子がどうもおかしい。
東部方面攻撃隊の行方について、情報を集めているようでした。
そして昨日のことです。ジャンク品の兵士用ブーツを手に入れたのです。
胸騒ぎがしました。
サリの記憶は完全抹消とはされず、残されているのでは。
そしてサリは、この洞窟に向かおうとしているのではないか。
東部方面攻撃隊に合流しようとしているのではないか。
「しかし、IDも名前も変わっているのです」
つまり、記憶は残されているとしても、その内容や性向は操作されている。
その可能性が高い。
同じ容姿だとしても。
元のサリのままではないはず。
「そして、サリの再生は、時期的に考えて、レイチェル長官が意図したものではありません。なぜなら、長官があそこに閉じ込められてからですから」
それに……。
ハワードは言いよどんだが、やがてきっぱりとした声で言った。
「私の本当の任務について、お話しします」




