70 出て来い! でかいネズミめ!
すでにチョットマは、視界の利く空地に出ていた。
港のコンテナヤードか、巨大駐車場の名残だろう。
自分の姿を晒す位置だが、その方がチョットマには都合がよい。
敵の攻撃を避ける自信はある。
対して、反撃が容易だからだ。
建物の残骸やコンクリートの塊など、反撃のレーザー弾を遮るものがない。
相手の姿が見えておれば、なお好都合だ。
さあ、出て来い!
でかいネズミめ!
敵の放ったエネルギー弾の破壊力から見れば、かなり大型のマシンだ。
少なくとも人体以上の図体でないと、あれほどの武器を搭載することはできない。
かつ、飛翔系ではないはず。
建物の残骸など瓦礫に埋もれた場所でなく、開けた場所に出れば、姿を視認できるはず。
チョットマはスコープのモードを変えた。
意識するだけで変わる優れもの。
可視光線で見る景と、様々なエネルギー探査モードで見る景が自動的に切り替わるパターン。
切り替えといっても、高速なので、ひとつの画像に見える。
可視光線で見る景に、エネルギーの存在が重なって見える。
隠れた敵と対峙するときに有効なモード。
しかし、エネルギー弾の着弾点とその軌跡以外に、エネルギーの存在は確認できない。
ハエほどの小さな飛翔系マシンなどは探知しにくいが、それ以上の大きさがあれば、たとえ巨大なコンクリート塊に阻まれていても、探査し損ねることはない。
精度の高い装備であるにもかかわらず、敵の位置は表示されていなかった。
どこに隠れてる。
卑怯者!
攻撃の着弾点からは、盛大な炎が上がり始めた。
コンクリートさえ瞬時に沸騰し、激しく燃えている。
弾が通過した軌跡にも、まだエネルギーが渦巻いている。
大気中のあらゆる物質が燃えて、七色の光の帯の中にキラキラと粒子が舞っている。




