688 約束とは、そのことだったのだ!
スゥが体をわななかせていた。
「スゥ……」
しかし、
「ユウがいうとおり、この話は私がする方が」
と。顔を上げた。
手が、肩に置いたンドペキの装甲の上に重ねられた。
「握ってて」
「ああ」
「ンドペキ」
「なに?」
「ノブ」
「なに?」
「聞いてくれる?」
「ああ。もちろん」
「私……」
うん……。
「私、私、ユウ」
んっ!
スゥの発した言葉の意味が、すぐには理解できなかった。
「私、三条優」
「な……」
ンドペキもイコマも、言葉が出てこなかった。
「私は……、ユウのクローン。そしてマトになった。ンドペキと同じ」
「なんっ!」
「ユウ、つまり私、ノブのクローンを作ったとき、ただではすまないと思った。自分の身がどうなるかわからない。自分のクローンも作っておかなければ、将来の再会は果たせないかもしれない」
「な、な……」
「私とユウは、ンドペキとノブの関係と同じ。記憶を共有し、思考も同期している」
ンドペキにとって、それは自分がイコマであるということを知った驚きと、同じくらいに鮮烈だった。
しばらく、声も出なかった。
スゥはもう泣いてはいない。
「きっとまた会える。そのときは、どんな状況であっても、まず最初にキスしようねという約束」
約束!
そうだ!
思い出した!
サリの捜索のとき、川のほとりでスゥと始めて会ったとき!
スゥは、約束を守らないとは、と言ったのだった!
約束とは、そのことだったのだ!
「スゥ、かえすがえすすまなかった。あの川原で、そして、洞窟に初めて連れてきてくれたとき……」
「うん。もういいのよ。私自身、本当はそんな約束のこと……、ううん、私……」
再びスゥの目が潤む。
「ノブのことも忘れてしまってたんだから」
握った手に力がこもった。
「私、どうしようもない人間。マトになったときから、本当はノブのこと、忘れてたんだから!」




