682 あなたは、死んだのよ
「手短に話すよ。ンドペキはますます忙しいだろうし」
「ああ、そうしたい」
再生と消去のシステムが破壊されたのなら、街の奪還に全力を注ぎたい。
レイチェルとも話さなければならないし、ロクモンやコリネルスらにも図りたい。
やっと本気の作戦が立てられるのだ。
ここで、思い出交じりの話を聞いている時間はない。
ンドペキの心にはそんな思いが強いが、他方、イコマの心として、JP01の、ユウの話を聞きたいという気持ちも抑え切れなかった。
「きっと、仰天するようなことを言うんだろうな」
イコマが言う。
ンドペキにとって、こういう瞬間が気持ち悪くなる。
自分でも、今のように応えただろう。
しかし、自分ならそうは言わなかった。
そんな冗談めかした言い方はしないはず。
今、ユウはフライングアイであるイコマに話しかけている。
こんな場面では、ンドペキはイコマの思考を他人ごとのように思うことができた。
「フフ、そう。ね、考えてみて。ンドペキをクローンとして作った。でも、どうやってノブのその時点での記憶を、そのクローンに入れることができたと思う?」
「さあ。僕が、アギになってからのことだな?」
「アギになったノブの記憶。私にはそのデータにアクセスすることさえできなかった。もしアクセスできるなら、私は、宇宙に行く前にあなたにそのことを伝えたかった」
「端的に言ってくれ。僕は驚かないぞ」
「うん。金沢に来てくれたときのこと、覚えてるよね」
「もちろん」
「ノブは、あそこで死んだのよ」




