681 あのままじゃ、みんな納得いかないでしょ
翌朝、森には朝霧が立ち込めていた。
鳥が鳴き始めている。
夜露に濡れた草の葉先が垂れている。
ンドペキは膝下を濡らしながら、KC36632の後をついて行った。
後ろからフライングアイ。
ここは。
以前、スゥと聞き耳頭巾の布を使った場所。
まさしくその木の下に、JP01とスゥが待っていた。
KC36632は、軽く会釈すると、もと来た道を戻っていった。
「再生と消去のシステムの破壊は完了したわ。それをレイチェルに伝えに行ったのよ」
JP01はユウの姿で、太い木の根に馬乗りに跨っている。
スゥは、少し離れて、苔むした岩に腰掛けていた。
まるでホトキンの間の再現のように、ユウとスゥの間にはバリアが張られたような緊張があった。
「話の続きをしたいと思って」
ユウが、呼び出した理由を言う。
「あのままじゃ、みんな納得いかないでしょ」
その通り。
あなたは実はイコマなのよ、と言われても、はいそうですか、とはいかない。
実際、イコマの思考が自分のものになってはいるが、まだ違和感は大きい。
自分がイコマ本人だと思うときもあるが、やはり別人の思考を覗き込んでいる感触も併せ持つ。
ユウに促され、手近な岩に腰を降ろした。
意図したわけではないが、ユウとスゥの中間あたり。
あの時と同じように、ヘッダーを外し、マスクも外した。
そういうものに守られて、ユウやスゥと話すべきではない。
フライングアイは、ホトキンの間でそうしたように、ユウのすぐ近くの木の枝にとまった。
「ノブ、ここからが本当に聞いて欲しい話。いい?」
ユウが真剣な目をした。




