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676 おまえの顔は見飽きたんだよ
レイチェルがもの言いたげな目をしている。
ん? なんだ?
自分の部屋に入れるのは抵抗があるのか。
知らないぞ。
予備の部屋など、あるはずがない。
話があるなら、廊下でも大広間でも、ご自由にどうぞ。
知らん振りをして突っ立っていると、レイチェルが提案した。
「ねえ、ンドペキ。あなたの作戦室、貸してくれない? ちょっと彼と話があるの」
「え?」
「ね、お願い」
「あの部屋は、我が隊の中枢です。畏れながら、レイチェル閣下といえども、お貸しするわけには参りません」
「そこを、なんとか。ね、ンドペキ」
芝居じみている。
レイチェルも分かっているのだ。
俺があの部屋だけは絶対に使わせないことを。
「だめかあ。じゃ、ロクモンは?」
「呼びましょう」
ロクモンなら自分の部屋を貸そうと言うかもしれない。
「ねえ、ハワード。ンドペキってさ、こういう人」
レイチェルはそういって、笑ってみせた。
言われた方のハワードは、反応のしようがないのか、冷たい視線をチラリと送ってきただけだ。
「こういう人だから」
レイチェルは再びそう言って、今度はこちらに向かって微笑んだ。
ふん。
どうでもいいが、ハワードよ、早く帰ってくれ。
おまえは知らないだろうが、おまえの顔は見飽きたんだよ。




