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675 「愛」や「恋」の練習台

「ハイ! ハワード!」

 応対に出たレイチェルは上機嫌だった。

「無事だった?」

「はい。このとおりです」



 ハワードはアヤのときより、よほどリラックスだ。

 言葉遣いは上官に対するものだが。


「長官もご無事でなりよりです!」

「心配掛けたわね! 来てくれてうれしいわ!」



 レイチェルに拒否さるれぞ、というのは杞憂だった。

 ハワードが正しかったというわけだ。


 面白くないが、これでハワードがアヤに近付いた理由がはっきりした。

 アヤがいうように、単に「愛」や「恋」の練習台だったわけだ。

 それが分かっただけで、十分だ。 



 チョットマやサリに近付いていたのも、その口だろう。

 行動力には驚くが、この男の「愛」や「恋」の中身は薄いもの。

 レイチェルとの関係は不明だが、所詮は底の浅いもの。


 しかし、レイチェルの反応は気になる。

 まるで、旧知の間柄のような歓待ぶり。



 部屋の入り口でふたりは無事を喜び合っている。

 面会が終れば、さっさと帰ってくれ。

 あの調子なら、もう、アヤと会うこともあるまい。

 忙しいんだ。俺は。


「レイチェル長官。お話が」

 ハワードが改まった口調になっている。

「そう?」

「ご判断を頂きたいことがありまして」

「そうねえ」



 レイチェルと目が合った。

 ん? 人払いをせよということか?

 俺に立ち去れと?


 それなら、ハワードを自分の部屋に入れればいいではないか。

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