668 人類が滅びてもいいと思ってる?
「あたしゃ、あのタブレットをみんなに配りたい」
「で、たんまり儲ける」
「うんにゃ。マトやメルキトが記憶を取り戻せばいいと思う。どうせ、もうすぐ死ぬ。いい思い出を枕に死なせてやりたいと思わんか」
ライラもマンゴーにかぶりついた。
「命はアンドロに握られている。彼らの指先ひとつで消去させられる。逃げ場なんてない」
「ここがあるじゃない。それに洞窟も」
「フン。いつまでも持つわけじゃない。第一、街に人っ子一人いなくなったんじゃ、この地下であろうが、洞窟であろうが、半年も持つまいて」
「アンドロ軍に負けると思ってるのね」
「ふん。勝てるものか。何しろ連中の本拠は別次元」
「そこで相談なんだけど」
スゥがふたつ目のマンゴーにフォークを伸ばした。
「これ、おいしいね」
「オーエンと旦那様に、協力を頼みたいのよ。彼らが次元の入り口を作ったんでしょ。それなら閉じることもできるんじゃないかと思って」
ライラがぎろりと睨んだ。
「次元の入り口を維持するのに、莫大なエネルギーが使われている。それを止めればいい。オーエンやうちのやつに協力させる必要もないさ」
「でも、そのエネルギー自体がアンドロに支配されてるんだから」
「ハハ。その通り」
「それにね、ライラ。あのエーエージーエスを通れば、政府機関の中枢に攻め込むことができる。アンドロを一掃すると同時に、次元の入り口を閉じてしまえば、こちらにも勝機があるんじゃないかな」
「さあ、どうかな」
「少なくともニューキーツでは、勝てるかもしれない」
「他の街はどうする」
「他の様子はどう?」
「正式な発表なんてどこにもない。あくまで噂レベル。アンドロ軍によって陥落した街もあるそうだ」
「え、そうなの。それじゃ、やはり次元の入り口を閉じるしか手がないじゃない」




