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655 彼女の行動規範がどこにあるか
意外な質問に、ンドペキは面食らった。
レイチェルのことを知っているかと問われても、何も知らないのと同然。
知っていることといえば……。
ううむ、と唸ってしまった。
「聞き方があいまいでござった。ンドペキはレイチェル閣下のものの考え方をどれくらい理解しておるのか?」
「ん?」
「失礼な言い方をお許しくだされ。彼女が最も大切にしていること、彼女の行動規範がどこにあるか、というような面では」
ンドペキはそんな見方でレイチェルを観察したことはなかったし、知りたいと思ったこともなかった。
正直にそう応えると、ロクモンが渋い顔を作った。
「わしが言うのもおかしうござるが、ンドペキ、それはまずうござる。彼女の思考パターンはわしらマトと、かなり異なっており申す」
ロクモンは、わしらマト、という部分に力を込めた。
「ホメムであるレイチェルの思考パターン。それは見当もつかないな」
「彼女の言動を見ていると、少しは気付かぬか」
「例えば?」
「つまらぬことに聞こえるかもしれぬが、ニューキーツ長官としての行動、軍の総司令官としての行動と、プライベートなときの言動との落差に気付かぬか」
それは言われるまでもなく、常に頭を痛めていることだ。
そしてそれが、レイチェルの真意を測りかねる原因でもある。
ンドペキは、正直にそう言った。




