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647 ほんとうに、困った人よね

 よかった!


 スゥはまだそこにいた!

 しゃがみこんで、うなだれたまま。


「スゥ!」


 ンドペキは叫んだ。

 驚愕の話を聞いて、スゥのことを忘れていた。


「スゥ!」


 聞こえていないはずはないのに、顔をあげようとしない。


「どうした! スゥ!」


「来ないで!」

 駆け寄ろうとするが、スゥが厳しい声で制した。


「なぜ!」

 スゥに駆け寄り、抱きしめたい!

 そして、無性にスゥが恋しいと思った。



「だから、まだこの話はしたくなかったのに」

 ユウが呟いた。


「ちょっと待ってくれ! 俺は!」

「スゥが好きなのね。いいのよ。それで」


「そうだ! いや、ユウ、俺は!」

「私が好きなん?」


「そうだ! ユウ! 当然のことを聞くなよ!」

「でも、スゥも好きなんや」



 ンドペキはスゥの顔を見た。

 そしてユウに向き直った。



「そうなんだ……」



「ほんとうに、困った人よね」


 ユウが溜息をついた。


「その話は後にしよう。アギのノブの話もしないと。ンドペキ、あなたは少し待っててね。スゥのそばにいてあげていいよ」

「ああ、そうする」


 ンドペキは、スゥに駆け寄り、スゥの前に膝をついた。


「スゥ……」


 スゥの眼は、悲しみを堪えていた。


「ごめん。放ったらかしにして」

「ううん、いいの。私の役目は終ったから」

「なんだよ、役目って」

「ンドペキの記憶を取り戻すことができた。ありがとう。私を信じてくれて」

「おい、泣くなよ」

「ありがとう」


 何度もそう言うスゥの目から涙がこぼれ落ちた。


「わけがわからない。礼を言うのは俺の方。知り合って、ほぼ一ヶ月になるかな。その間、助けてもらってばかり。最後は自分自身を思い出させてくれた。感謝の言葉も見つからない」


 スゥが小さく、しかし強く首を横に振った。

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