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640 じゃ、ノブ、ふたりともノブね
ンドペキはすべてを思い出していた。
知ったのではない。
教えられたのではない。
自分の目で見たこと、感じたこと、考えたこととして、思い出したのだ!
それを当然のこととして、驚くこともなく思い出している自分があった。
一方で、驚愕している自分があった。
冷静に今の状況を見ている自分は、生駒延治であり、チョットマのパパだった。
そんな自分が心の中にいることに驚いているのは、ンドペキである自分だった。
「驚いたな」と、ンドペキは無理やり呟いた。
その声に違和感を感じているのは、生駒延治である自分だった。
「無事、完了したようね」
JP01であるユウの声。
六百年もの間、待ち望んでいた声。
喜びが全身を溶かしていった。
「説明して欲しい?」
「もちろん!」
ンドペキは、自分がそう言ったのか、フライングアイがそう言ったのか、判然としない感覚に襲われた。
「イコマ」
と、呼びかけたが、自分で自分に声を掛けたような気がした。
フライングアイが呟いた。
「こういうことになるとは……」
その声は、今、まさに自分が発したように感じられた。
「じゃ、ノブ、ふたりともノブね。説明するよ」
ユウが話し出した。
ンドペキはノブと呼びかけられて、心までとろけていくようだった。




