638/731
638 やっと、わかったのね
瞬時にありとあらゆる記憶、いや、意識が脳内を駆け巡った。
自分がイコマ延治という人物であることから始まり、日本の大阪に住んでいたこと!
三条優という女性と橘綾という女の子と、暮らしていたこと!
自分は建築関係の仕事をし、ひとりで細々と設計図を描いていたこと!
失踪した優を捜し求め、苦悶の日々を送ったこと!
そして、金沢の郊外の光の柱で優と会い、大阪に送り返されたこと!
膨大な記憶が蘇ってきた。
「うわ! うわわわわわわっーーーー!」
「目をつぶって」
ユウが言った。
「その方が、記憶を自分のものにできる」
その後、ユウは戻っては来なかったこと!
自分はアギとなり、アヤはマトとなって、さらにユウを探す日々が続いたこと!
やがてアヤも顔を見せなくなり、長い長い年月が経ったこと!
英知の壷に行っては、ユウとアヤを思い、心を震わせたこと!




