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636 失敗だったんじゃないか?
床に横たわっていた。
気がつくと、スゥの顔。
覗き込んでいる。
「気分はどう?」
頭や顔を、タオルで拭ってくれている。
「上々だ。眠っていたのか?」
「ほんの数分ほど」
ンドペキは自分の顔に手をやった。
濡れていた。
頭から肩の辺りまで。
「水をぶっかけたんだな」
「違うよ。淵に頭を突っ込んであげた」
「ちっ」
「手続きのひとつ」
頭が冴え渡っているのを感じた。
意識を取り戻したばかりだというのに。
すべての力が体に、脳に、そして精神に宿っているかのような感触。
スゥの顔を見つめた。
タオルを動かしながら、チラリチラリと目を合わせてくる。
「スゥ」
「なあに」
「失敗だったんじゃないか?」
「どういうこと?」
「ん……、すまない。君のことを思い出さない」




