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633 記憶を完全に復元する
「ここにチャンスがあるのに。今、使わなくちゃ。明日はどうなっているかわからないんだから」
「飲めばどうなる」
「あなたの記憶を完全に復元する」
「しかし、スゥ。この話がJP01の」
パリサイドの代表がしたかった話なのか。
ンドペキは渡されたタブレットを見つめた。
白い錠剤一粒。
「説明は後でする。というより、飲めば説明は要らなくなる」
スゥの声が遠くで聞こえるような気がした。
この話し合いが、こういう訳の分からない展開になることを、半ば予感していた。
スゥの言葉を忘れていたわけではない。
この間、スゥという女性の不思議に助けられ続けてきた。
そして惑わされ続けてきた。
いつかはその謎が明らかになるだろうとも感じていた。
そのときとは、自分がスゥを思い出すときなのだ、と思ってもいた。
今がそのとき。
そう思った。
スゥ。
おまえを信じている。
俺はタブレットを飲むよ。




