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630 もがく心
ンドペキはフライングアイを従え、ホトキンの間に向かった。
心は重い。
街に攻め入るチャンスは向こうからはやって来ない。
しかし、洞窟の我々にはもう時間の猶予はない。
勝機の薄い戦いを挑まなければならないのだ。
心は必死にもがいていた。
アンドロに勝つために。
隊員達をひとりも死なせないために。
そしてレイチェルを再び長官に据えるために。
イコマはひと言も発しない。
ンドペキも黙って巨岩の隙間を抜けていった。
ホトキンの間には、すでにスゥが待っていた。
そしてもうひとり、見知らぬ女。
スゥはセラミック片のテーブルに腰掛け、見知らぬ女は金属片のテーブルにもたれて、黙ってンドペキが来るのを待っていた。
自ずと、ンドペキは木片のテーブルの脇に立った。
いつもは漆黒のホトキンの間に、数個のランプが持ち込まれ、石のテーブルを浮かび上がらせていた。
スゥが口を開いた。
「ンドペキ、前に私が言ったこと、覚えてる? そのときがくれば、私に任せてねって」




