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626 アヤちゃんはまだ無理よね

 もう、入口も出口もバタンと閉じられたようなものだった。


 しかし、気を取り直して言葉を繋ぐ。

「わかりました。では、いつごろがよろしいでしょうか。当方は、いつでも結構です」

「では、今から六時間後ということで」

「かしこまりました」



 と、JP01はぐっと砕けた調子になった。


「ねえ、ンドペキ、仕事の話はそれでおしまい?」


 仏頂面に微笑が戻ってきた。


 JP01の変わり身は極端だった。

 話しぶりも声音も、先ほどとはうって変わって、親しみモード全開だ。

 目さえ笑っている。


「あなたとチョットマのパパさんに話があるんだけど」

「何でしょうか」

「今じゃないわ。レイチェル長官との会談が済んだ後。どこかに場所を用意してくれない?」


 異存はない。


「スゥも呼んで欲しい」

「かしこまりました。いい? イコマ」

「もちろん」

「アヤちゃんはまだ無理よね」

「ん、難しいです」

「そう。本当は立ち会って欲しいけど、しかたないわね」



 スゥにアヤ。

 作戦の話ではない。



「他には?」

「私とスゥ、パパさんとあなた。それで十分よ」


 了解だとは言ったものの、ンドペキは胸騒ぎがした。

 アヤちゃんはまだ無理……、JP01はどこまで知っているのだろう。

 不安が頭をもたげるが、ここはスルーするところ。


 スゥがシリー川の会談でJP01に向かって発砲したことを思い出した。

 はるか昔の出来事のようだ。


 JP01は、スゥを交えて話したいという。

 旧知の仲のようにスゥと呼び、親しみさえ匂わせている。


 奇妙な申し入れだ。

 あの発砲事件の後、何があったのだろう。

 しかし、これもスルーしておこう。


 そういえば、そのことについても、スゥにはまともに聞いていなかった。

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