620 普段のチョットマは
普段のチョットマは、まだサリのことが気にかかっていたし、レイチェルのことも頭から離れない。
もちろん、ンドペキのことも。
最近、なんだか寂しくない?
ンドペキも忙しそうだし。
というのが、自分に向けた呟き。
ただ、楽しくないかといえば、違う。
洞窟暮らしもなかなかいいかも、という気がし始めている。
いくらなんでも、我ながら単純すぎるかなとは思いつつ。
私は兵士に向いていなかったのかも、と思うこともあった。
マシンを破壊し、小さなメタルを手に入れる。
そんな暮らしを懐かしむ気持ちはあったが、戻りたい?
そうでもないみたい。
この十日ばかりがあまりに濃密すぎて。
今は、たいしてすることがない。
ンドペキは抜き打ちで訓練を兼ねた作戦を実施するが、洞窟から出ないのではそれほど大掛かりなことはできない。
刺激はない。
「ねえ、パパ」
パパは、どういうわけか、寝ていることがなくなった。
おかげで、好きなときに話しかけることができる。
「あのヘルシードのバーにいた将軍、あれ、ロクモンじゃなかったよね。緊張してたから覚えてないんだ」
「ああ、違うんじゃないかな。もっとソフトな声だったと思う」
「それとさ、あのひとつ目の女の人。今頃どうしてるかな。バーも、住民が増えて繁盛してるかも」
そんな他愛もない話をしているとき、幸せを感じるのだ。
自分は兵士というより、まるで普通の女の子だな、と思うのだった。
「ねえ、パパ。アヤの具合はどう?」
「順調だよ。みんなのおかげだ。もう安心。食欲もあるし、話も普通にできる。まだ時々熱が出て、うなされたりしてるけど、後は日にちが経てば立てるようになるだろう」
「あ、そだ。杖を作らなきゃ」
「ありがとう。でも、もう医務隊員が作ってくれたよ」
「よし、それがちゃんとしたものか、私がチェックしてあげる」
という調子。




