611 目的が違うように感じる
「どう思う?」
雑談の後、ネールが聞いてきた。
今の状況と、今後の予想について。
隊員達は、あえてこの話題をしないようにしている。
どうなろうとも、与えられた任務を遂行するのみ。そんな気分がある。
「どうって、それはンドペキ達が考えることじゃない?」
「だね。命令があれば俺達に躊躇はない」
「なら、それでいいじゃない」
「ああ。でも、気にならないか?」
奥歯にものが挟まった言い方。
「はっきり言ってよ」
ネールは、ンドペキ隊とロクモンの隊員に、微妙な温度差を感じるというのだった。
「ロクモンの隊員は、なんていうのかな、俺達と目的が違うように感じるんだ」
「それはそうかも。彼らは閣下を守り抜くことを最優先してる。そんな気はするね」
「閣下、か。俺たちもそう呼んだ方がいいのかな」
「どうして? ンドペキもレイチェルって呼び捨てだよ。いいんじゃない」
「だな。ま、俺達もンドペキを呼び捨てだしな」
「そう。で?」
「俺たちは、いずれ街を奪還することが最大の目的。彼らは、その気持ちが薄いというか……。諦めているというか……」
しかたのないことかもしれない。
同僚が次々に強制死亡処置され、目の前で忽然と姿を消していったのだ。
再生は今や保証されていないも同然。
恐怖や諦めがあってもおかしくはない。
早期の街の奪還は諦め、時期が来るまでここに篭城し続けることを前提にした話をする者がいるのは確かだ。
ただ、洞窟内がギクシャクしているかというと、そうではない。
むしろ、個人レベルでは、融和が進んでいる。
隊としてみたとき、主流と傍流というか、本隊と友軍という意識がまだ双方共に拭えないでいると言えばいいだろうか。




