602 依然として、ハートマークの旗指物!
翌日。
スゥは一日中、姿を見せない。
隊員ではないので、行動を把握しているわけではなかったし、隊としての仕事が割り当てられているわけでもない。
ンドペキは聞き耳頭巾を試してみるどころではなかった。
「政府軍、接近!」
洞窟内は一気に臨戦ムードになったのである。
「迫っている! 約十五キロ!」
「約七十名!」
「依然として、ハートマークの旗指物!」
次々入る連絡を耳に、隊員たちが走り回っている。
「落ち着いて行動しろ! 決められた位置に付け!」
ンドペキは厳しい声で伝えた。
「絶対に攻撃するな! 向こうが撃ってきてもだ! いよいよ洞窟に侵入されるときになって、初めて攻撃態勢! しかし、命令あるまで撃つな!」
隊員がレイチェルとアヤを瞑想の間に退避させているのを確認し、ンドペキは洞窟の入り口に向かった。
すでに、隊員達が所定の位置につき、政府軍が洞窟に近付くのを防ぐ隊形をとっていた。
「相手が少なくなったからといって、油断するな!」
ンドペキは洞窟の入り口に陣取った。
「いよいよ、来やがったな」
パキトポークもスジーウォンも、どことなく弾んだ声を出している。
「待たせやがって。もうちょっとで、モヤシになるところだったぜ!」
「見張り隊! 引き上げろ!」
引き上げつつも、見張り隊から断続的に連絡が入ってくる。
「五キロ地点で停止した!」
「集団隊形を取っている!」
「敵の隊長、先頭にいる模様!」
そのときだ。
ンドペキの耳に聞きなれない声が届いた。




