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600 私に任せて欲しい。すべてを

「長くなったな。そろそろ帰ろう」

 しかし、スゥの足は動かない。

「まだあるのよ」

「ん?」


「最も大切な話が」

 また、腕を取ってくる。


「抜本的に、あなたの記憶を戻す方法があるとすれば、試してみる気、ある?」



 ンドペキはスゥに向き直った。

 即答できなかった。


 記憶を戻したいという気持ちはもちろんある。

 しかし、それが今の自分の最大の希望かといえば、違う。

 今は、東部方面隊の危機。

 ニューキーツの街の危機。

 これがすべてに優先する。


 自分の記憶を元に戻すというような、何の役にも立ちそうにない感傷的な望みは持っていない。



 ンドペキは正直にそう答えた。

「悪いけど、今はそんなときじゃない」


 スゥは組んだ腕を解こうとせず、じっと目を覗き込んでくる。



「いずれ、そう思う時が来るかもしれないが」

 そう言って話題を終了し、洞窟へ戻ろうとした。


 ほろほろとした気分は失せ、本来の自分に戻っていた。


「そのいずれというのは、案外近いと思うのよ」


 ニューキーツの街が元に戻れるというのなら、それに越したことはない。


「じゃ、そのときにまた考えよう」

「そうじゃなくて」



 スゥがきっぱりと言った。

「そのときがいつかってこと、私に任せて欲しい。すべてを」


 あまりに、唐突な宣言だった。


「……」


 スゥの腕に力がこもり、ぐっと引き寄せられた。

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