590 無難な話題
ンドペキはスゥとレイチェルと共に、バードの部屋にいた。
普通に口がきけるほどに回復している。
最近では、レイチェルが付っきりで介抱している。
医務隊員はようやく自由な時間が持てるようになっていた。
むやみにバードに話しかけたりはしない。
疲れていても無理にでも応えようとするからだし、特に声を掛ける用件もなかった。
「その足だけど、再生術は当分お預けだよ」
イコマがバードに話しかけている。
「街があの状況だから」
バードはこっくり頷くと、
「急がなくてもいいよ。でも、私が皆さんの重荷になっているかと思うと、申し訳なくて」
「気にしない、気にしない。彼らは彼らなりに活動してる」
と、レイチェルがバードを安心させようとしている。
確かに、この娘は重荷だ。
その意味では、レイチェルも同じこと。
いざというときの大移動ができない。
とはいえ、そんな大転換が必要なときといえば、街を攻めるべく、ホトキンの間に移動するときだろう。
しかし、街の攻略はまだ予定にない。
ふと、思うことがあった。
スゥはエリアREFの地下に部屋を持っているという。
そこでレイチェルとこの娘を匿ってくれたら……。
しかし、さすがにそれをスゥに頼むことは厚かましい。
彼女がその案に気づいていないはずがないからだ。
そうする方がいいと判断したら、スゥはきっと自分から言い出すだろう。
無難な話題を出した。
「その聞き耳頭巾ってのは、どういうものなのかな?」
イコマが代わりに話してくれた。




