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587 だから、私、必死でアヤちゃんを助けに行った
わけがわからない!
「ちょい待ち!」
スゥがニッと笑った。
「これから、そう呼んでもいい?」
「いや、ちょっ、ちょっと待ってくれ。それは」
「誰かの専売特許?」
「いや、ちょ、ちょ」
「そういう慌て方って、ノブらしいよ」
「いや、だから!」
「ダメ?」
「うわっ、待ってくれ! 頼む!」
スゥがまた笑った。
「だから、私、必死でアヤちゃんを助けに行った。私たちの家族だもの。それでも、ノブって呼んだらだめ?」
「えっ、うっ、えええええっ!」
ユウ!
ユウ、なのか!
スゥははっきりとは言わないまでも、自分はユウだと言っている!
そういえば、エーエージーエスで、スゥはバードと呼ばず、アヤと叫んでいた……。
アヤちゃん、と!
「で、でも」
「でも、なに? 顔が違う? そうかもしれない」
「……」
イコマはもう一度、まじまじとスゥの顔を見つめた。
似ている。
しかし、違う。
データの中からユウの顔を呼び出しては見比べた。
出会った頃の顔。
初めてキスしたときの顔。
初めてベッドに入ったときの顔。
京都の山奥の村に行った頃の顔。
アヤと住むようになった頃の顔。
そして、部屋を出ていった頃のユウの顔。




