580 見くびっちゃだめだぞ
「さて、三つめ。これが最後だよ」
「うん」
スゥの反応はあくまであっさりしている。
「パリサイドはきわめて高度な肉体構造を持っている。これは知ってるな。しかし、思考力は? 精神は? 個性は? 思想は?」
「さあ」
「様々な報告によれば、パリサイドはきわめて均一な者の集団だという。例を挙げると」
パリサイドの集団には、リーダーがひとりとその取り巻きが数人いるだけで、後は全員が等しい立場にある。
思考も思想もかなり均質なため、争いは起こらず、伝達事項は瞬時に隅々まで伝わり、統一した行動を取る。
数千人いようが百万人いようが、それは同じだそうだ。
ただ、知能が低いかというと、全くそうではない。
ジョークも言えるし、文化度も高い。
美しいものに対する執着もあるし、遊び心もある。
社会構造も単純ではあるが、洗練されている。
特に、あの高度な体を作り上げたことからもわかるように、科学に対する知見は相当進んだものがあり、地球人類が及びもしない技術力を有している。
「シリー川の会談でも、パフォーマンスを見せてくれたそうじゃないか。しかも、それを演じた女性は地球人の顔をしていた」
「ええ」
「余裕さえ感じるね。彼らの知能は極めて高度。見てくれとはかなり違う。均質な思考とは矛盾するかもしれないが、個性もある。バランスが取れているんじゃな」
情報提供は終了だ。
「最後に言っとくが、パリサイドを見くびっちゃだめだぞ」
「わかったわ」
「数日前、北の荒地で、ひとりのパリサイドが地上に降りたそうだ。すぐに飛び立って上空の仲間と合流したが、それが何を意味するのか、誰にもわかっていない」
「……」
「そこで何かをしたはずなんだ。あんたら、あっちの方面にいるんだろ。東部方面攻撃隊と行動を共にしているなら、注意しておいた方がいいぞ」




