58 ハクシュウの命令
東部方面攻撃隊のピクニックならぬ作戦当日。
「展開!」
ハクシュウの号令が下された。
「ラジャ!」
ハクシュウのチームを除き、四つのチームが一斉に散っていく。
ンドペキも指定された地点に向かった。かつて大聖堂があった広場。
移動中に、マシンに執拗に追いすがられたが、それを一撃すると、大聖堂ピアッツァまでほんの数分で到達。
次々に各チームがそれぞれのポイントに到着した旨の連絡が入ってくる。
「進め!」
間をおかず、ハクシュウの命令が下される。
事前に、全隊員に作戦の目的と行動の詳細について、ハクシュウから説明がなされてあった。
目標地点は、アップット高原の最高峰であるザイキル稜から南北に伸びる稜線を十キロメートル越えた地点。
そこまでは隊列を維持して進む。
その時点で集合するか、そのままの形で引き返すか、ハクシュウから命令が下されることになっていた。
目的は、サリの何らかの痕跡を探すこと。
敵が襲ってきても、攻撃は最小限に留め、捜索に重点を置くこと。
目標地点到着予定時刻は、一時間五十四分後の午前十時三十三分。
進軍は、平均時速九十キロのやや遅いスピード、と指定されていた。
隊列はハクシュウのチームを中心に横一列。
各チームの間隔は二キロメートル。
各チームは伍長を先頭に雁行。
補給部隊のみが雁行の最後尾、先頭の真後ろにつけている。
ンドペキのチームは順調に進んでいた。
他のチームも概ね指定スピードを保っている。
わずらわしいマシンがいても、それを刺激しないように各自が避けながら、都市の廃墟を出た。
原野が広がる。
あいにく空はどんより曇り、大気に充満する有毒なガス濃度のムラが視認できそうだ。
そして今にも雨が降り出しそうだった。




